熊本地震からの復旧工事が続く熊本城、国の重要文化財に指定され『第3の天守』とも言われる宇土櫓の木造部分の解体が5月22日に終わった。
宇土櫓の木造部分の解体が終了
解体工事が公開されたのは熊本城宇土櫓の工事用の素屋根内部。宇土櫓は2016年の熊本地震で柱や床が傾くなどの被害が出て、2023年12月から再建に向けて建物全てを解体する工事が行われてきた。

そして5月22日、建物地下部分に残った最後の柱を取り外す工事が行われた。コンクリートの基礎部分に差し込まれていた柱がクレーンでつり上げられると、これで宇土櫓の建物を構成していた全ての木の部材が外されたことになる。

部材は素屋根内部に保管され、柱は231本ある。そのうち約80本は江戸時代のものとみられている。ただし、これらの部材には地震による被害のほか、シロアリによる傷みがあるものもあり、再建の際に一本一本使えるかどうかが判断される。

解体工事に携わった大工の棟梁・猿渡信浩さんは「めっちゃホッとしています。解体する時は自分の頭の中で組み立ても考えながらするので、頭の中では(櫓が、すでに)建っている」と話した。
約100年ぶりに姿を見せた基礎部分
また、基礎部分のコンクリートは、前回、建物全てを解体した昭和2年の工事で再建された時に造られたもので、今回約100年ぶりに姿を現した。亀裂は熊本地震によるものとみられている。

熊本城総合事務所・復旧整備課の上村祐一課長は「(建物が)いったんなくなったということについては寂しい気持ち。しっかり設計を進めて復旧工事を目標とする令和14年度(2032年度)までに完了したい」と話す。

宇土櫓は2026年1月までにコンクリートの基礎部分を解体し、2028年度から建物を再建する工事を行う予定。工事完了は2032年度の予定だ。
発掘調査で石垣の内側に別の石垣も
また、5月22日は『北東櫓群』と呼ばれる『東十八間櫓』など、3つの重要文化財建造物があった場所の石垣解体工事開始の様子も報道公開された。

このエリアは熊本地震の際、城内で最も石垣の被害が大きかった場所で、東十八間櫓は石垣と共に崩れ、下の熊本大神宮の社務所を押しつぶした。

解体を前にした発掘調査では、石垣の内側に別の石垣が築かれていたことが新たに分かり、土砂の中から江戸時代の瓦や陶磁器のほかに明治時代の銃の部品も見つかったという。

今後、石垣の解体、積み直し、建物の再建へと続き、このエリアで全ての工事が終わるのは2037年度の予定だ。
(テレビ熊本)