初代は小林さんの父・日出男さん。当初は「サンキュー」という店名を考えていたが、学生たちから「フランス語の方がかっこいい」とアドバイスを受け「メルシー」に変更したそう。

植野さんから店を継いだきっかけを聞かれた小林さんは「完全に継いだのは20年前くらい。仕込みをやっていたのはもっと前からです」と話す。その際の心境を聞かれると、「せっかく繁盛しているのにもったいなかった。味はほとんど変えないで67~8年になる」と語った。

父親から受け継いだ味を守るため、早朝5時半から、ラーメンスープや具材をひとりで準備していく。長年の疲れで肩や腰に悩みを抱えていた小林さん。

さらに、10年以上一緒に働いてきたパートが2人も体調不良でリタイアしてしまう。「これではお店が回らない!」と、2024年7月、突然の休業を宣言した。

休業宣言すると…励ましの声

「初めは1、2カ月くらい休もうかなと思って張り紙をしたら、いつの間にか辞めるみたいになって“どうしよう”と思った」と小林さん。

休業宣言をした際の客からの反響を聞かれると、「留守電に(メッセージが)入っていたこともあります。張り紙に付箋紙で“頑張ってください”“再開待っています”“自分の孫に食べさせてあげたい”とか頂きました」と想像以上だったと語る。

一時休業があったことを知る客は、「昔ながらの“ワセメシ”が少なくなる中で、もう一回開いてくれるのは嬉しい」「閉店は本当にショックだった。再開のニュースを聞いて今日は奈良から来ました」と感激の声が聞こえた。

休業から3カ月後の2024年10月に再開。客からは「おめでとう」「ありがとう」など待ちわびた声があった。早大生に親しまれてきた「メルシー」の味、これからも受け継がれていくことを願うばかりだ。

本日のお目当ては、メルシーの「ポークライス」。 

一口食べた植野さんは「洋食でありながら和の感じがする。しっかり炒めた香ばしい味わい」と堪能した。

メルシー「ポークライス」のレシピを紹介する。