マダニが媒介するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)には、今のところ有効なワクチンが存在しない。そのため、感染リスクから身を守るためには、マダニに噛まれないように気をつけることが最も重要だ。
同時に、ペットの対策も忘れてはいけない。SFTSウイルスを保有するマダニに噛まれた犬や猫などのペットの体液や血液を介して、ヒトがSFTSに感染する可能性があるためだ。
害虫駆除の専門家で、マダニの生態や駆除方法に詳しい足立雅也さん(808シティ代表)に、ペットを含めたマダニの予防法、駆除法を解説してもらった。
■マダニとSFTSの基礎知識は前編へ
出かける前に服装をチェック!
まずは、私たち人間がマダニに噛まれないための予防法についてお話ししましょう。
マダニが潜んでいそうな山や野原に出かける際には、服装選びが重要なポイントとなります。マダニに噛まれたくなければ、暑い夏であってもタンクトップや短パンは避けて、長袖、長ズボンで出かけるべきです。

またマダニは服のわずかな隙間からも入ってくるので、袖口をゴムや紐で絞ったり、ズボンの裾を靴下のなかに入れたりと、肌の露出をできるだけ減らす工夫も大切です。そして山や野原に入る前には、服の上からで構わないので全身に虫除けスプレー(忌避剤)を念入りに拭きかけておきましょう。
市販されている虫除けスプレーのなかでマダニ予防に効果的なのは、「ディート」、あるいは「イカリジン」という成分を含んだスプレーです。どちらも、マダニの嗅覚を麻痺させて、血を吸う対象がどこにいるのかを分からなくする効果があります。

ディートは生後6カ月未満の乳児には使用できないほか、ナイロン素材の服を傷める(白く変色させる)恐れがあるので、衣服の上からスプレーする場合や、幼い子供を同伴する場合は、どちらかというとイカリジンのほうが使いやすいと思います。
庭で遊ぶ時は殺虫剤を撒いてから
しかし、そんなふうにいくら気をつけていても、マダニを完全にシャットアウトするのは難しいのが現実です。