“映え写真が撮れる”と観光客が集まっていた海沿いの踏切では、オーバーツーリズムによる迷惑行為に悩まされていた。観光客が付近の寺に侵入し、様々な迷惑行為を行う一部始終をカメラが捉えていた。
聖地から約400メートル離れた踏切付近の寺で新たな被害
外国人観光客も多く訪れる神奈川・鎌倉市にある“スラムダンクの聖地”。

アニメに登場する鎌倉の海と踏切のシーンを写真に収めようと、道路にはみ出して撮影する人があとを絶たないのは、もはやおなじみの光景になっている。

聖地に隣接した公園にはペットボトルが捨てられ、最寄りの鎌倉高校前駅はゴミであふれかえってしまっていた。

そんな中、新たな被害があった。

「スラムダンク」の聖地とは別の場所だが、鎌倉の海と踏切を一緒に写真に収めようとする人たちが、警報音が鳴っているにもかかわらず、お寺の敷地内へと駆け込んでいく。

取材班が発見したのは、聖地から約400メートル離れた踏切だ。
ここは海と踏切を一緒に撮影でき、聖地と同じ構図で撮影できるため、“第2のスラダン聖地”となっていた。

線路に立ち止まり、ポーズを決める観光客の姿もある。

多くの観光客は住職に「エクスキューズミー!」と注意されても寺の敷地内からなかなか出て行かず、敷地内で好き放題に撮影を行っていた。
なぜこの場所に…中国のSNSで地図付きで紹介
なぜ、この場所に集まっていたのか。

中国人観光客は「中国のSNSに(情報が)全部あるのよ」「だってその(鎌倉)高校前は人がめちゃくちゃいるから」と話す。

中国のSNSでは、お寺とみられる場所が地図付きで紹介されており、観光客が殺到していたのだ。
職員に逆ギレし威嚇・手を出す様子がカメラに…“お小水”まで
さらに、敷地への侵入以外にも観光客による深刻な迷惑行為があり、一部始終をカメラが捉えていた。

顕証寺・信清宏章住職:
5月のゴールデンウィーク中にあったことなんですが、(職員が)物を置いているのを注意したら、女の人が逆ギレをするんです。このように威嚇します。こうやってはじき飛ばしました。手も出してくる。

注意した職員を観光客の女性が乱暴に小突いている。
建立して80年以上の歴史あるお寺では、コロナ禍以降、こうした迷惑行為が相次いでいた。

大切な鐘を勝手に鳴らし、道具を放置するといった行為のほか、観光客が捨てていったとみられるゴミの入ったビニール袋をカラスがつつき、ゴミが散乱していた。

さらに、住職もあ然とする衝撃的な光景を防犯カメラが捉えていた。

顕証寺・信清宏章住職:
子どもさんのズボンを脱がして、お小水をさせます、ペットボトルと。これで注意が入ります。そのペットボトルを持っています、注意しに行ってやめさせましたがした後でした。(注意しなければ)放置していく可能性は大でしたね。
「鎌倉高校前駅」トイレ閉鎖で近隣施設ターゲットに
実は聖地の最寄り駅「鎌倉高校前駅」のトイレは迷惑行為が相次ぎ閉鎖されたため、近隣の施設がターゲットとなっていたのだ。

顕証寺・信清宏章住職:
いや憤ってますよ。私は仏教者だから露骨には出してはいけないものだが、憤り以外の何物でもない。仮設トイレも市が率先して作っていただくのは良いと思うが、“過剰”なほど彼らは、そこ(トイレ)に集中する。

鎌倉市の担当者は「イット!」の取材に対し、「課題としては重々認識しており、仮設トイレを設置するためには臭気や設置場所の問題があり、地元住民や関係事業者との調整が必要になります」と回答した。
聖地の周辺にまで広がりを見せる迷惑行為。
早急な対策が求められている。
(「イット!」8月15日放送より)