今や日常生活と切り離せない「ポイント経済圏」。楽天ポイントやVポイント、dポイント、Pontaポイント、PayPayポイントなどを複数の店舗やサービスで貯め、利用できる仕組みのことだ。

今、ポイント経済圏に変化が起こっているという。『ポイントカードの消費者行動』(千倉書房)の著者で、消費者行動論を専門とする名城大学経営学部教授の中川宏道さんに聞いた。

企業の狙いは囲い込みとデータ

さまざまな店舗で貯められるポイント。企業にとってどんなメリットがあるのだろうか。

「企業がポイントを付与する理由は、消費者を囲い込むためです。ポイント制度があることによって、消費者のスイッチングコスト(頻繁に使う店舗を変えるコスト)が高くなります」

A店で貯めたポイントがB店では使えないとなると、その後もA店で買い物をするようになるというわけだ。さらに、企業にとっては別のメリットもあるという。

ポイントを貯めている店に通い続けるのが顧客心理(画像はイメージ)
ポイントを貯めている店に通い続けるのが顧客心理(画像はイメージ)
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「ポイントカード・アプリには年齢や性別が登録されているため、消費者の属性と買った商品、買い物の頻度といったデータが手に入るのです。そのデータを分析し、プロモーションなどに活用できるというメリットもあります」

企業からするとポイントは損にしかならないように思えるが、相応のメリットがあるからこそ導入する企業が増えている。

「期間限定化」の背景

そんなポイント経済圏では今、ポイントの期間限定化が進んでいる。PayPayポイントは、2025年2月から一部30~180日の有効期限を設定。dポイントも2025年10月以降、有効期限を従来の“獲得したポイントごとに獲得月から48カ月”から“保有ポイントすべてについて最後にポイントを利用した日から12カ月”に変更する。

なぜ、このような変化が生じているのだろうか。