訪日外国人観光客が増える一方で、問題となっているのが「オーバーツーリズム」です。
相次ぐ迷惑行為に対処するすべはあるのでしょうか?
寺や電車で…相次ぐ迷惑行為
2023年までの5年間で、外国人観光客の数が 約1.4倍に増加したという、京都市。

「サン!シャイン」が話を聞いたのは、400年以上の歴史を持つ、京都・高台寺岡林院の青山公胤住職。

岡林院 青山公胤住職:
人が増えた分、門が開いていると中まで入ってきて。
ごみは相変わらず、夜の間に誰か置いていったのかなというごみはあったりしますね。
参道の途中に橋がかかっていて、竹で欄干が作ってあるんですが、バラバラに壊されていて…。

そのときの写真を見せてもらうと、参道に面する短い橋の欄干は、バラバラに壊され橋の上に転がっていました。増える“迷惑行為”に青山住職は…。
岡林院 青山公胤住職:
来るなとは言わないし、いろんな人に京都の良さだったりこの辺の良さを知ってもらって、「いいところやね」と言って帰ってもらえるのはいいかなと思いますしね。
汚して帰るのではなく、せめてそこに住んでいる人たちに嫌な思いをさせないのは必要だと思います。
迷惑行為は都内でも…。

4月18日に投稿された映像。
SNSで100万人近いフォロワーがいるというドイツ人男性。
JR山手線の車内に大音量で響く音楽に、驚きの表情を浮かべる乗客の姿が…。 そして、人が行き交うホームで「バク宙」するという迷惑行為まで。

別の外国人インフルエンサーとみられる花見客の動画では、満開の桜にぶら下がり、懸垂と逆上がり。枝が大きくたわみ、今にも折れそうです。
MC 谷原章介:
いっぱいいらっしゃればいろんな問題起きるのはありますけど、外国の方に限ったわけではなくて、日本の方もいますからね。
酒主義久アナウンサー:
外国人観光客だけをとがめるわけじゃなくて、私たちもマナーを守らなきゃいけないなと。
人気漫画でマナー啓発
日本民営鉄道協会が初めて行った訪日外国人観光客の駅と電車内の迷惑行為ランキングでは、マナーに対しても厳しい目が向けられています。

1位 騒々しい会話・はしゃぎまわり 51.8%
2位 荷物の持ち方・置き方(キャリーバッグ・リュックサック等) 37.1%
3位 駅での通行の仕方(通路をふさぐ・立ち止まる等) 24.8%
4位 乗り降り時のマナー 16.5%
このような訪日外国人へのマナー啓発として、人気漫画とコラボしたキャンペーンが行われています。

講談社が行っているもので、4月24日から6月30日の約2カ月。
JR東海の東京駅・品川駅・名古屋駅・京都駅・新大阪駅で、世界的人気の漫画17作品のキャラクターを通じて「日本のマナー」を学べる広告を展開しています。

〈漫画「ブルーロック」マナー啓発広告〉
車内では周りの迷惑にならないように会話しましょう

〈漫画「進撃の巨人」マナー啓発広告〉
列車の写真を撮る際に、柵から乗り出すのはやめましょう

〈漫画「寄生獣」マナー啓発広告〉
電車やバスを利用する際は整列乗車を行いましょう

〈漫画「FAIRY TAIL」マナー啓発広告〉
特大荷物スペースのご利用には事前予約が必要です
マナー啓発広告について、東洋大学・ 国際観光学部の古屋秀樹教授に聞きました。

東洋大学 国際観光学部 古屋秀樹教授:
親和性が非常に外国人にもありますので、そういう意味では(こういった)伝え方は非常にパワーがあると思います。マナーをそもそも知らない外国の方もおられますので、その人たちには丁寧にコミュニケーションしながら伝えるということも重要になってくると思います。
「二重価格」はオーバーツーリズムの抑制になる?
オーバーツーリズムの抑制になるかもしれないのが、訪日外国人観光客に日本人より高い料金を払ってもらう「二重価格」です。

世界遺産・姫路城では、2026年3月の導入を目指し、入城料を市民は1000円、市民以外は2500円とする方針です。
すでに導入している外国では…。
・ギザのピラミッド(エジプト)
エジプト・アラブ諸国の人は約200円、外国人は約1800円。
・タージマハル(インド)
インド人は約95円、外国人は約2075円。

鈴木おさむ氏:
この間高野山に行ったらすごく外国の方がいらっしゃって。撮影禁止と書かれていて絶対撮ってはいけない「奥之院」で結構撮るんですよ。すごく神聖な場所だからドキドキしちゃう。
僕が前に海外に行った時にとある宗教の建物で海外からの人は入れなかったんです。お寺とか神社も本当に神聖なところはそういうルールを作ってもいいのかなと思います。

MC 谷原章介:
人流の制限であったり、分散させる手はないんですかね?
東洋大学 国際観光学部 古屋秀樹教授:
リピーターの方は日本の過ごし方をわかっているので、そういう方はいいと思いますが、初回来訪者とか、バズる目的の方はなかなか厳しいのが現実かもしれません。
マナーの問題ですと、京都の観光協会は“京都マナー”というのを提唱して伝えているんですが、なかなか理解してもらえない、コミュニケーションができていないのが現状です。

JTB総合研究所 フェロー 山下真輝氏:
罰則とかでもいいんですけど、例えば京都だと朝観光・夜観光というのを提唱しています。それによって時間を分散させるとか。
「京都一周トレイル」といって山の上をずっと歩けるルートがあるんです。それで物理的な分散が図れるし。だから二重価格もそうですが、純粋に(価格を)上げるのではなく、価値を提供してうまく誘導していくというような工夫が必要なのかなという気はします。
(「サン!シャイン」4月29日放送)