暑い夏に欠かせない水分補給。熱中症対策としては、どのように摂取すればいいのだろう。

生活に取り入れられる工夫や注意点を、日本救急医学会の評議員で医師の三宅康史さんに教えてもらった。体の仕組みを考えると飲み物だけではなく、食事から摂ることも大切になってくるという。

1日に必要な総水分量の目安を知ろう

最初に押さえたいのは、飲み物の選び方だ。三宅さんは「汗をかきやすい環境かどうかで考えてみてほしい」と話す。

「原則、冷たい水やお茶(ノンカフェインがお勧め)を飲めば問題ありません。暑くてよく汗をかいた、激しい運動をした場合は、スポーツドリンクに切り替えても良いでしょう」

水かお茶が望ましい(画像はイメージ)
水かお茶が望ましい(画像はイメージ)
この記事の画像(8枚)

普段は水やお茶にし、汗をかいたらスポーツドリンクも選択肢に入れるといいだろう。

水やお茶を飲む量、タイミングはどうか。人間が1日に必要な総水分量は、「4-2-1ルール」(点滴を計画する際に使われる計算式)から導きだした、次の数値が目安になるそうだ。

【1日に必要な総水分量(mL)の目安】
■体重が10㎏までの場合
体重×4×24=目安の数値
■体重が10kgを超える~20kgまでの場合
{(体重ー10)×2+40}×24=目安の数値
■体重が20kgを超える場合
(体重ー20+60)×24=目安の数値

例えば、体重が10kgなら「10×4×24」で960mL、体重が20kgなら「{(20ー10)×2+40}×24」で1440mL、体重が50kgなら「(50ー20+60)×24」で2160mLの水分摂取が必要になってくる。

ただし「1日に必要な総水分量」には、食事から摂取される水分も含まれる。上記した量の全てを水やお茶で飲んでほしいというわけではないので、注意してほしい。

飲料の“イッキ飲み”は注意

では、どのように飲めばいいのか。「飲み物を大量に、一気に摂る飲み方はあまり勧められない」と三宅さん。腎臓の動きが活発になり、短い時間で尿として排出されてしまうという。

「また、胃腸に負担がかかり、食欲が低下する恐れがあります。特に高齢者は消化管や心臓への負担が大きくなる可能性もあります」

コップ1杯(100~150mL)の水やお茶を、起床時、食事のタイミング、入浴の前後などに、こまめに飲むのがお勧め(画像はイメージ)
コップ1杯(100~150mL)の水やお茶を、起床時、食事のタイミング、入浴の前後などに、こまめに飲むのがお勧め(画像はイメージ)

そこで、お勧めなのは“タイミングと量を決めてこまめに飲む”方法だ。

「起床、朝食、昼食、おやつ、風呂の前後、夕食、寝る前などに、コップ1杯(100~150mL)の水やお茶を飲んでみましょう。もちろん、喉が渇いたらその時にも飲んで大丈夫です」

【こちらもお勧め!夏場に役立つ記事】
夏のレジャーでの熱中症対策は?発症リスクを軽減する「5つの行動」
水中に落ちたらどうする?救助まで“命をつなぐ”海や川での泳ぎ方・浮き方