セルフレジを悪用した万引き被害が増加しています。

2年ほど前に、人件費削減や混雑緩和のためにセルフレジを導入した「スーパー田子重 登呂田店」。店長の近藤さんによると、1年間で推定約500万円の万引き被害があったといいます。

スーパー田子重 登呂田店 近藤将也店長:
もちろんお客さまの操作ミス等もございますけど、何度か繰り返し行ってしまう、未精算の商品が多いというお客さまもいらっしゃいます。

万引きが確認された際は、速やかに警察に相談。1年間で20件ほど検挙されているといいます。
店の防犯カメラには、そんなセルフレジを使った、“悪質な万引きの手口”の数々が残されていました。
セルフレジを悪性した万引きの手口
コメの価格高騰が世間を騒がせていた5月に撮影された防犯カメラの映像。

買い物客が、かごから商品を出しながら慣れた手つきでセルフレジにバーコードを読み取らせていきます。

コメの袋を手に取りますが…、そのまま台の上に載せました。

レジのモニターにうつった会計済みの商品数が増えていないことから、コメはまだスキャンされていないことが分かります。

しかし、コメ以外のもののスキャンを済ませると、そのままコメも会計済みのものと一緒にかごの中に入れて持ち去りました。
レジを通さないで持ち去る事例は他にも…。
野菜や総菜、アルコール飲料が5本入った買い物かごを持ってセルフレジの前に立った買い物客。

一般的に固くて重たい飲料などから先にレジに通し、袋に入れることが多い中、客は総菜や野菜などを先にスキャンしていきます。
近くにいた従業員からアルコール飲料の販売許可をもらい、アルコール2本はバーコードをかざしてマイバッグに入れますが…。

残りの3本のアルコール飲料と総菜1つはスキャンをしないまま、マイバッグへ。そのまま会計終了をタッチしました。

この人物は、この映像が撮影された6日後にも、同様の手口で野菜などの商品を持ち去っており、店は警察に被害を相談しています。

他にも、複数の商品を重ねて手に持ち、片方だけスキャンして持ち去るという手口も確認されています。この人物についても、店は警察に相談しています。

スーパー田子重 登呂田店 近藤将也店長:
従業員が後ろにいればいいんですけど、なかなか見ていない状況ですと、特定が難しい状況にございます。

「スーパー田子重 登呂田店」では、従業員による積極的な声かけやセルフレジ周辺に複数台の防犯カメラを設置。会計の様子を近くの大型モニターに映し出すなどの万引き対策を行っています。
独自AIでエラーを表示「アラートを出すことで抑止効果も」
「セルフレジ万引き対策」として、新たなシステムの開発も進んでいます。

アースアイズ株式会社・経営企画室 室長 竹之下新一郎さん:
カメラで撮った画像をAI分析して、「今商品を持っている?持っていない?」ということと、その時にスキャンをしたかどうかということを組み合わせて、「スキャンしなかったね」ということでエラー判定する仕組みとなっております。

セルフレジ万引対策システム「セルフレジeye」は、独自のAIと画像認識テクノロジーで、商品を持った手の不審な動きを検知。
商品がスキャンされないままレジを通過すると、モニターにアラートが表示されます。

セルフレジを悪用した万引きで多く見られたように、レジ台の上に置いてスキャンせずに通過させようとしても…すぐにアラートが出ます。

アースアイズ株式会社 竹之下新一郎さん:
アラートを出すことによって、「これって監視されているんだ」ということをお客さんが気づくことによって、本当はちょっと不正をしようと思ったお客さんが、やめとこうかなとか、そういう抑止効果が働くっていうのも1つの効果だと思っております。
“うっかり”「通し忘れ」すぐ店に申告を
万引きは「窃盗罪」にあたり、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金となります。

では、万引きするつもりはなくても、セルフレジで商品がちゃんとスキャンできていなかった場合、どうすればいいのか?
若狭勝弁護士によると、気が付いたときにすぐに店側に申告することが大切だといいます。

精算ミスに気付いたのにそのまま申告せずに自分の物にしてしまうと、「占有離脱物横領罪」に問われ、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金、もしくは科料となる可能性があります。
家に持ち帰ってから気付いた場合でも、必ず店に申告して、しっかり精算するようにして下さい。
(「サン!シャイン」 2025年7月31日放送)