認知症などになり判断能力が低下すると、口座からお金を引き落とすことや、投資商品や家の売買などができなくなる。すると、生活費や医療や介護にかかる費用を本人が払えなくなり、家族は困ってしまう。
「このような“資産凍結リスク”を避けるためには、親が元気なうちに『家族信託』か『任意後見制度』、あるいは両方の契約を結んでおくことをお勧めしています」

こう話すのは、介護や相続に関するお金の相談を数多く受けてきたファイナンシャルプランナー・安田まゆみさん。
「家族信託」と「任意後見制度」はどちらも、老後の暮らしや介護・医療などのお金の管理を、本人以外の人に任せることができる制度。いずれも本人に判断能力がある時に契約を結ぶことが特徴で、認知症などになったときの資産凍結リスクを回避することができる。
安田さんは、状況に応じてどちらかを選択することを勧めているが、まずはこれらの制度の概要と特長・注意点などを解説してもらおう。