脳の成長とは何か

――自分の脳番地が分かれば、勉強も毎日楽しくできそうですね。子供の脳は成長するとのことですが、特に成長しやすくなる年齢はあるのでしょうか。

キーポイントとなる年齢は、10歳です。

脳は右脳と左脳に分かれていて、右脳は空間認知などの機能、左脳は言葉を話して理解する機能がある。

人間は生まれて、まず右脳から発達します。言葉を話せるようになると次第に左脳が大きくなる。そして、10歳くらいで一度右脳と左脳の脳の成長度合いが同じにおおよそそろうのです。

脳の学校代表で小児科専門医の加藤俊徳さん
脳の学校代表で小児科専門医の加藤俊徳さん

このときこそ自分の得意をもっと伸ばすことができ、可能性のバリエーションが広がります。また、10歳以後、再び左脳と右脳の成長具合がそろうのは45歳くらいです。脳は日々変化する性質があります。このように、大人になっても勉強や運動をすることで、脳は刺激を得ることで成長するんですね。

さらに、45歳を超えてからも成長することで、自分らしく脳の得意を伸ばしていくと個性をもった大人脳になります。

成長のカギは三猿の逆?

――では、得意を見つけて成長させるには何を意識すればいいのでしょうか。

日光東照宮の有名な三猿の彫刻「見ざる、言わざる、聞かざる」。実はこれらは脳の成長に必要な要素を表しています。

人の話を聞くことが苦手であれば聴覚系脳番地の「聞く力」が弱かったり、口を動かすことが少なければ運動系脳番地「伝える力」や「動く力」が弱くなります。話したり、本を読むなどして目を動かすことも同じ。つまり、「視覚・聴覚・運動」が脳の成長の基本要素なのです。

聴覚による吸収で子供の語彙(ごい)は増えていく(画像:イメージ)
聴覚による吸収で子供の語彙(ごい)は増えていく(画像:イメージ)

例えば、お子さんが小学校に入学する前と後で語彙(ごい)力がぐんと増えると思います。それは多くの子供達と接する機会が増え、聴覚によって言葉を吸収しているのです。

つまり、見ることが得意なのか、聞くことが強みなのか、運動が得意なのか、そこを見極めてください。音楽を聞かせたり、運動を習わせることでわかるでしょう。

いろいろなことにチャレンジさせることで、その子が「好きで好きでもっとやりたい」と思うものが得意だとわかり、伸びやすいのです。