学校の授業で当てられて音読するのが「イヤだなぁ」と思った経験はあるだろう。
長年脳の研究に従事し、これまで1万人以上の脳を診断してきた小児科専門医の加藤俊徳さんによれば、音読が脳の成長を促す一つの方法だという。
加藤さんの著書『成績が上がる!10歳からの脳タイプ別勉強法』(世界文化社)では、加藤さんが提唱する脳を働き別に8つに分けた「脳番地」に応じた勉強のトレーニング法を紹介している。これらは子供だけでなく、大人も応用可能だ。
まずは、脳が成長するために意識するといい2つのこと、そしてなぜ音読で脳を鍛えられるのか、を教えてもらった。
脳の成長には“運動”と“繰り返し”を
――本の中で、“脳は自分で変えられる”と加藤さんは言っています。脳の仕組みを知れば、自分の能力や得意分野を伸ばすことができるとのことですが、どんなことを意識すればよいのでしょうか。
私は脳の仕組みを客観的に知ることで、自分の脳をもっと働かせ、成長させられると考えています。脳の成長を高めるには、次の2つのことを意識しましょう。
まず、体を動かすこと。脳と運動は密接な関係にあります。体を動かすことで、脳は活性しやすくなるのです。
逆に椅子に座ってばかりいると、脳の思考能力や学習能力が落ちるだけでなく、うつ病や心臓病のリスクも高まります。体を動かさずに考えようとするのは、とても難しい。
仕事で行き詰まったとき、気分転換にトイレに行ったらひらめいた!という経験はないですか。それは脳が働いている証拠です。体を動かすことは考えることにつながり、その頻度をいかに多くできるかが大切です。

――もう一つは?
次に、繰り返すことです。脳の仕組みは積み木です。情報を何度も繰り返し頭に入れていくことで、脳のネットワークが形作られます。
例えば、整備されていない山道でも、何回も通っていると楽になってきます。勉強も同じ問題を繰り返し解いていくと、得意になり、「できた」が増えていきます。「できた」という気持ちは脳にとってよいことなのです。