「脳番地」で脳の仕組みを知る

――脳と向き合う方法として、加藤さんは「脳番地」を提唱されています。

脳にはたくさんの神経細胞があり、同じ働きごとに8つのグループに分けることができます。これを私は「脳番地」と呼んでいます。

頭が働いているかは、この8つが上手く機能しているかで決まります。「脳の得意」も、この脳番地で分類することができ、脳番地を知ることで自分に合った学び方が分かり、将来の可能性も広がっていきます。

『10歳からの脳タイプ別勉強法』より
『10歳からの脳タイプ別勉強法』より

〈8つの脳番地の位置と働き〉
聞く力:左右の耳の内側に位置。耳で言葉や音楽、その他の音を聞く働きをする
見る力:頭の前と後ろに位置。目で見る働きをする。後ろの部分は普通に見るとき、前はよく見るときに使う
動く力:頭のつむじから左右にカチューシャのように位置。体を動かす働きをする。走ったり、字を書いたりしゃべる動きもこの力が担当する
伝える力:左右のこめかみの真下に位置。しゃべったり、身振り手振りで他の人に伝える働き
吸収する力:左右の脳の下方に位置。覚えたり、思い出したりする働き
わかる力:左右の耳の後ろから後方に位置。見たり聞いたりしたことを整理して理解する力
考える力:額の真下に位置。考えたり決めたりする働きを担当。勉強の集中力を高めるのもこの力
気持ちを知る力:脳の「考える力」の真下や「吸収する力」「動く力」に接して分かれて位置。相手の気持ちを感じたり、喜ぶ・怒る・泣く・笑うなど自分の気持ちをつくりだす働き

勉強は「脳の得意」に合わせて

――どの脳番地がよく働くかは人によって違うそうですね。タイプ別に合わせた勉強方法はあるのでしょうか。

子供の脳の得意に合わせた勉強法をすることで、学力も向上していくでしょう。きっと勉強も好きになれるはずです。

例えば「見る力」が得意な子は、図や絵、写真を活用するといいでしょう。勉強前に好きな絵本や図鑑を見ると、脳が刺激されて、スムーズに勉強がしやすくなります。

『10歳からの脳タイプ別勉強法』より
『10歳からの脳タイプ別勉強法』より

「伝える力」が得意な子は、話すことで記憶や理解を深められるタイプです。勉強中は誰かに説明するつもりでノートをまとめたり、勉強後は家族に覚えたことを伝えてみると知識が身につきやすくなります。

「気持ちを知る力」が得意な子は、「できた!おもしろい」と思える感覚を増やすと楽しく勉強できます。まずは簡単な問題をたくさん解いてみたり、偉人の伝記を読んでみるのも一つ。「自分ももっと頑張ろう」と前向きな気持ちになれます。