職務質問を受けたのはXか?
貴重な話だったが、X供述を裏付ける証言になるかどうかについては最初から違和感があった。X供述とは日時や場所が違うことに加え、不審な男が「名刺を出した」とは証言しなかったことは決定的だった。

特捜本部は新たに出て来た「釣り宿の職質」話は、X供述の職質話とは違うものだと判断した。この話をXが明かしていないことから、Xが受けた新たな職質話なのではないかとの疑いを強めていく。
もう一つの“警察官への職質”証言
「釣り宿の職質」話が入ってきてから1カ月もしないうちに、特捜本部が数年にわたって求めていた情報がついに舞い込んだ。
Xが明かした職務質問を実際に行なったとみられる警察官が99年10月13日に現れたのである。
その警察官は南千住署から第五機動隊に異動していたというから、「職質警察官」探しは執念の捜査だったと言えるだろう。