まず共同通信が特ダネとして記事を配信したのを皮切りに、各紙、翌日10月25日の朝刊で一斉にX巡査長の存在を報じる。

しかし南千住署特捜本部の中で、Xの存在を知っていた者は栢木、石室、山路ら限られた10数名だけだった。

南千住警察署 資料映像
南千住警察署 資料映像

誰が漏らしたのか?Xへの聴取に従事した者も、知らなかった者も、特捜本部では捜査員が疑心暗鬼になる空気が生まれ、大混乱に陥った。

Xの存在が白日の下に晒されようとしている。伏せられていたからこそ静謐な環境での取り調べが可能だった。Xへの取り調べに重大な影響が出ようとしていた。

誰が漏らしたのか?特捜本部幹部は背後で1人1人の最近の素行、発言などをチェックしたが、誰1人としてそういう無責任なことをしそうな人間は見当たらなかった。

ただ、何カ月も必要な裏付け捜査はやるなと厳命されていたため、Xの捜査に関わる全員がその膠着状態に大きなフラストレーションをためにためてきている。

マスコミに届いたハガキ
マスコミに届いたハガキ

ある捜査員は「このハガキのおかげでXの存在が表になったから、いよいよ裏付け捜査が動き出すぞ!」と喜んだほどだ。

こうして世間に知れ渡ったXへの極秘捜査について、栢木らXの調べにあたった者たちは調べどころではなくなり、訟務対策、国会対策、マスコミ対応において、今後矢玉のように飛んで来るであろうあらゆる質問を想定して回答を用意する作業を強いられる事になった。

南千住署特捜本部だけでなく警視庁全庁も大混乱に陥った。