X巡査長が懲戒免職に
X巡査長もオウム教団幹部の井上嘉浩の依頼により車のナンバー照会を違法に行うなどした地方公務員法違反の疑いがあるとして、懲戒免職処分となる。
井上警視総監もXの存在発覚から1カ月後の11月28日、記者会見を開き辞任を表明した。

「X巡査長がオウム真理教に秘密を漏洩し、長官狙撃に関与したと言った。部下がそのような行為をした疑いがあるという事態に鑑み、責任の所在をはっきりさせる。一連の対応は私の責任で行われており、けじめをつけるのが筋と考えた」と述べた。
桜井公安部長の後任には刑事畑出身の林則清警察庁暴力団対策部長が、警視総監の後任には前田健治警察庁官房長が就任することとなる。
そして南千住署特捜本部の捜査指揮を宮﨑忠公安部参事官に執らせることとし、刑事部が調べてきた一連のオウムの被疑者全員を刑事部の取調官ごと南千特捜本部の指揮下に配置する組織改編に至った。
膠着状態となった長官事件を解決するべく、捜査の完全一元化をはかったのである。
【秘録】警察庁長官銃撃事件26に続く
【執筆:フジテレビ解説委員 上法玄】
1995年3月一連のオウム事件の渦中で起きた警察庁長官銃撃事件は、実行犯が分からないまま2010年に時効を迎えた。
警視庁はその際異例の記者会見を行い「犯行はオウム真理教の信者による組織的なテロリズムである」との所見を示し、これに対しオウムの後継団体は名誉毀損で訴訟を起こした。
東京地裁は警視庁の発表について「無罪推定の原則に反し、我が国の刑事司法制度の信頼を根底から揺るがす」として原告勝訴の判決を下した。
最終的に2014年最高裁で東京都から団体への100万円の支払いを命じる判決が確定している。