身体を動かす種類の課題(大声を出す、ロープを引く、泳ぐなど)はもちろん、頭を使う種類の課題(アイデアをたくさん生み出す、小論文の評価を行う、迷路を解くなど)でも、同様に社会的手抜きは発生することが知られています(※Karau & Williams(1993))。

たとえば、社会心理学者のラタネたちは、大声を出す、もしくは、大きな音で拍手するという課題を用いて、集団サイズを1人、2人、4人、6人と変えて実験を行いました(※Latané, Williams, & Harkins(1979))。

集団サイズが大きくなるほど1人の出す声が小さくなる(画像:イメージ)
集団サイズが大きくなるほど1人の出す声が小さくなる(画像:イメージ)

その結果、集団サイズが大きくなるほど、1人あたりの出す音が小さくなることが分かりました。先に紹介した綱引きの実験と同様に、6人の集団の場合には大声や拍手の大きさは1人のときの半分程度となってしまいました。

また、創造性を必要とするアイデア創出課題においても、同様です。ブレイン・ストーミングを行う際には、集団サイズが大きいほど、効果が低下することを説明しました。ここで起きたことも、社会的手抜きの一例だと言えます。

このように、集団でやるだけで、残念ながら1人あたりの力は目減りしてしまうのです。なんてことでしょう。

社会的手抜きが生じる2つの原因

では、この社会的手抜き、なぜ生じるのでしょうか?