女子児童とカメラに収まり笑顔でピースサイン。野外学習でも、振り返りながらピース。片方の手には、カメラが握られている。
常に児童から囲まれ、学校で人気者だったという、名古屋市の小学校教師・森山勇二容疑者(42)。その笑顔の裏には、“もう一つの顔”があった。
“子供思い”の教師を逮捕・起訴
現役教師約10人がSNSで繋がり、盗撮画像や動画を共有したとみられる前代未聞の事件。

発端となったのは、名古屋市の小学校に勤務する水藤翔太被告(34)だ。
水藤被告は2025年1月、名古屋市内の駅のホームで当時15歳の女性が背負っていたリュックサックに体液をかけたとして逮捕・起訴された。さらに、勤務していた小学校で、児童の給食の食器に体液をつけたなどとしても起訴されている。

水藤被告が勤務していた小学校の卒業生:
(水藤被告は)子供思いっていうか、ちゃんと叱るところは叱るし、楽しくやってくれるところは楽しくやってくれて。自分たちが言った意見をそのまま通してくれるんですね。めっちゃ好きだったです。
子供思いだったという水藤被告は、熱血教師を思わせる一面もあったという。

水藤被告が勤務していた小学校の卒業生:
“水籐学級三原則”っていう、絶対これは守らなきゃいけないみたいなルールがあって。「あいさつをしっかりする」「人の心身を傷つけない」「正直に生きる」っていう項目があって。中学でもその三原則をやれるように意識して生活しています。
「なんで男性の先生のところで着替えさせられてたんだろう」
水藤被告は、熱血教師との評判の一方、不可解な行動も目撃されていた。
水藤被告を知る保護者:
放課後の時に男児だけ集まっているところで、下ネタの話をしてみたりとか。男児が興味が出始める年頃だからなのか分からないですけど、「先生からそういう話をするんだ」っていう違和感があった。
さらに、児童らからはこんな証言も…。
水藤被告が勤務していた小学校の児童:
なんか、右左とか見ていたり、普通の先生はそんなことしないけど、水藤先生は(校内で)右左とかちょろちょろ見てた。

水藤被告が勤務していた小学校の卒業生:
私たちのクラス(担任)は水藤先生で、(別の組)が女性の先生だったんですけど。でもなぜか着替える場所が、私たち(女子)は水藤先生の教室で、今思うと、なんで男性の先生のところで着替えさせられてたんだろうっていう気持ちがすごくあって。
挙動不審な様子を見せたり、自身の教室で女子児童が着替えることもあったという。
そんな水藤被告への捜査の過程で、スマートフォンから発見されたのが、女子児童を盗撮した画像だった。

警察の解析の結果、秘匿性の高いSNSのグループで、約70点の盗撮画像や動画が共有されていたという。
“学校一の人気教師”「着替えの際に教室でタブレットPCを」
その後、逮捕されたのが、横浜市内の小学校に勤める小瀬村史也容疑者(37)、そして、中心メンバーとみられる森山勇二容疑者(42)だった。

森山容疑者は、「グループは私が立ち上げ、管理していた」「学校のデジカメを使い、盗撮していた」と供述している。

名古屋市内の小学校に勤務する森山容疑者は、2024年9月ごろ、女子児童のショートパンツの中の下着をデジタルカメラで盗撮し、SNSで共有した疑いがもたれている。
森山容疑者はどんな教師だったのか?
森山容疑者が勤務する小学校の校長:
(教職員の)リーダー的な存在でもあったので、教職員に対する授業の進め方とか子供に対する指導についての助言をする立場。「学校だより」という、保護者に学校の様子を知らせる便りを作る担当者でもありましたので、子供たちが活動する写真などを撮影していました。
現場のまとめ役である「主幹教諭」という立場で、子供たちの様子を撮影するカメラマンでもあった森山容疑者。

森山容疑者が勤務する小学校の児童:
(森山容疑者は)めちゃくちゃ明るい。1番人気。誰に対しても明るいから。クラスで、「モリモリ」とか変な名前で呼んでた。
「モリモリ」の愛称で呼ばれる学校一の人気教師で、保護者からの信頼も厚かったという。
森山容疑者を知る保護者:
こっちが話しても全て受け止めてくれるような、ちょっとお願い事をすると仕事が早い。
そんな高い評価の一方、森山容疑者もまた、不可解な行動が目撃されていた。
森山容疑者が勤務する小学校の校長:
(児童が)着替えをして着替え部屋から出た時に、廊下で森山容疑者に出くわすことが何度かあったということを言っていた保護者がいます。複数ですね。
担任のクラスを持っていなかったにも関わらず、なぜか児童が着替える教室の近くにいたという。
さらに、以前勤務していた小学校の卒業生からは、こんな証言が…。

以前勤務していた小学校の卒業生:
体育やプールの着替えの際に、他の先生は教室の外にいるのに、森山先生だけはいつも教室の中にいて教卓でタブレットPCを触っていた。着替えが終わるとタブレットを持ってどこかに行ってしまい、授業が遅く始まることがあった。冗談交じりで女の子に「上履き入れのにおいをかがせて」と言ってかいでいた。
“教撮”隠語使い秘匿性の高いSNSで画像公開か
逮捕された教師たちのSNSグループで共有された画像や動画は、着替えをする児童の様子など、ほとんどが学校の業務中に撮影されたものとみられている。また、仮名を使ったメンバー同士のやりとりの中には、互いに「いいね」などと称賛し合う会話も残っていたという。
しかし、お互い面識がなかったとみられる現役教師たちは、一体どのようにしてつながったのか?
取材したのは、25年間にわたり盗撮犯罪防止に取り組んできた、一般社団法人全国盗撮犯罪防止ネットワークの平松直哉代表理事。

平松代表理事:
SNSで盗撮やそれに繋がるサイトはたくさんあります。そういう盗撮系のサイトの中でですね、教師に関する隠語ってたくさんありまして。まず“教撮”。教師が撮影すると書いて“教撮”という隠語を使って(盗撮関連)サイト内の掲示板で、商品のやりとりとかで(教師同士が)つながっていったんじゃないかなって推測されます。

平松氏によると、盗撮画像を投稿する会員制サイトでは、会員歴の長さや売買歴に応じて信用度を表す“ランク付け”が行われているという。そのランクによって信用を得た人物同士が集まり、秘匿性の高いSNSで盗撮画像などを公開しあっていた可能性を指摘する。
また、自身も小学生の親であり、ネットパトロールに取り組む「ひいらぎネット」の永守すみれさんは…。

永守さん:
学校の先生は犯行がバレれば一番責任を負われる立場。ある意味同じ弱みを持った人たちが集まることで、外部に情報が漏れないことを狙って、教師のみでコミュニティーを作った可能性もある。教師による盗撮を防ぐことは非常に難しい。(子供たちを)どうやったら守れるか、すごく強い不安を感じました。
「同じことが起きるんじゃないか」保護者からは不安噴出
森山容疑者が勤務する小学校で行われた保護者説明会では…。
保護者:
今回の事件で(子供が)学校に行けなくなる。学校が怖い場になったらどうしようという不安。
保護者:
この学校ではないかのもしれませんが、まだ(盗撮)教師が潜んでいるんですよね?同じことが起きるんじゃないか?という不安がある。
保護者:
本当に安心して子供を送り出していいのか答えてほしいです。
学校側:
今、ご安心くださいというのは当然言えません。信頼をこれから取り戻すために努力を精いっぱいさせていただきますので。
保護者:
こんな返事のない説明会に意味はあるのか。

揺らぐ教育現場への信頼。逮捕された森山容疑者は、卒業する子供たちに向けてこんな言葉を贈っていた。
「自分を見つめる目 まわりを見わたす目 先を見通す目 3つの目を大切に 楽しい人生を!」
(「Mr.サンデー」6月29日放送より)