保健所などに保護された犬や猫を一時的に自宅等で預かる「一時預かりボランティア」というものがある。
長崎県で行き場を失った犬や猫たちを自宅で預かり、新しい飼い主を見つける活動を行っているのがtamtamさんだ。
インスタグラムでは、自身が体験したことをマンガにして投稿し、話題に。その投稿が世界文化社から、コミックエッセイ『たまさんちのホゴイヌ・ホゴネコ』シリーズ第3弾として出版された。
本書では、保護活動に向き合うtamtamさんと4匹の老犬、寄りそう人々が命をつないでいくエピソードがつづられている。
まずは、“家族になること”の意味を示してくれたママ犬「ふうちゃん」とのエピソードを紹介。そして、「家庭を知ってもらいたい」と保護活動をするtamtamさんの思いを聞いた。
8頭の子犬を産んだシニア犬ふうちゃん
ある冬の日、イノシシ捕獲用のおりに入っていた1頭の雑種犬が「ふうちゃん」だった。
保健所に保護された、推定年齢10歳で人懐っこいふうちゃんはまさかの妊娠中。後日、8頭の子犬を出産した。保健所では「全員が育たないかもしれない…」と思われたが、保健所職員のケアとふうちゃんの母としての意地、そしてたくましさから8頭を育て上げたという。

一方のふうちゃんは、人間の産後と同様に、身も心もボロボロになっていた。元の飼い主の情報も寄せられることなく、子犬たちの里親は決まっていくが、シニア犬の「ふうちゃん」を迎えたいという人は現れなかった。
そこでtamtamさんが譲渡先の決まらなかった子犬2頭とふうちゃんの一時預かりをすることになる。
ふうちゃんとtamtamさんの新しい生活が始まり、甘えてくる子犬たちにふうちゃんは全身全霊で愛を注いでいた。それから、しばらくするとふうちゃんを「家族に迎えたい」というDMがtamtamさんのもとに届く…。