「施設では衰弱して発見されたアザラシを保護し、海に帰すことができる場合には治療とリハビリを施してリリースします。ただ、自然界で生きていくことが難しいと判断された場合は、施設で引き取り、『アザラシランド』で終生飼育します。

オホーツクとっかりセンターは、ゴマフアザラシのアグと日和とキョロが暮らす『アザラシシーパラダイス』と、保護された多くのアザラシが暮らす『アザラシランド』の2施設からなり、参加型のフィーディングタイム(給餌の時間)やスタッフによる生態解説などを通し、来園されたお客さまにアザラシについて学んでもらう活動もしています」

野生に戻っても生きていける力を

センターでは、来園者がアザラシと触れ合える場を設けている一方で、回復後に自然に帰すアザラシは、野生に戻っても生きていけるように注意をしているという。

つぶらな瞳がかわいい!(『アザラシまるごとBOOK』より)
つぶらな瞳がかわいい!(『アザラシまるごとBOOK』より)

「『アザラシシーパラダイス』と『アザラシランド』で暮らすアザラシたちは、自然に帰ることが難しいと判断されたアザラシたちで、施設で終生飼育をします。彼らとは異なり、リリースが可能と判断されたアザラシは、施設内の病院(アザラシペン)で治療とリハビリと受けます。

自然で生きていくための力をつけるために人間になれすぎないように注意を払っています。たとえば、名前(愛称)は付けずに番号で呼ぶ、人が給餌していることが分からないようにする、ハズバンダリートレーニングや触れ合いなどは行わないといったことです」

最後に、アザラシの魅力を教えてもらった。

「もちっとした体(フォーム)、さまざまな表情、個性豊かな性格、すべてがかわいいです!『とっかりセンター』にいる子たちは、特に個性があると思うので、そこも推しポイント。

施設内にはアザラシたちの個性が分かるような掲示物も展示しており、毎日インスタグラムも投稿しているので、ぜひ見ていただくと、一頭一頭の個性が伝わると思います」

『アザラシまるごとBOOK』(辰巳出版)

【編著】南幅俊輔
グラフィックデザイナー&写真家。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材も行っている。

南幅俊輔
南幅俊輔

盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材も行っている。著書に『ソトネコJAPAN』(洋泉社)、『ワル猫カレンダー』『ワル猫だもの』(マガジン・マガジン)、『ハシビロコウカレンダー』(辰巳出版)、『踊るハシビロコウ』(ライブ・パブリッシング)など。企画・デザインでは、『ハシビロコウのすべて』『ゴリラのすべて』『ラッコのすべて』(廣済堂出版)、『美しすぎるネコ科図鑑』(小学館)、『ねこ検定』『マヌルネコ15の秘密』(ライブ・パブリッシング)など。