ラップと保存袋で乾燥から守る

「冷凍した食材の味が劣化するもう一つの原因は、乾燥です」と笹嶺さん。

いわゆる「冷凍焼け」は、食材が冷凍中に乾燥し、空気に触れて酸化した状態だ。例えば、冷凍庫に放置して表面が白っぽくなったり、変色したりした肉は、冷凍焼けで味が劣化しているため、どう調理してもおいしくは食べられない。独特のニオイも気になるだろう。

表面が乾燥していたりくすんだ色になっていたら「冷凍焼け」かも
表面が乾燥していたりくすんだ色になっていたら「冷凍焼け」かも

例えば肉や魚を販売時のトレイのまま、食パンをパッケージの袋のまま冷凍庫に入れていないだろうか。それでは乾燥が進むばかりだ。

「多少面倒でも1回に使う量で小分けしてラップに包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍してください。これでだいぶ乾燥を防ぐことができます。冷凍用保存袋の口を閉じる時は、中の空気をしっかり抜いてくださいね」

ラップで包んだ食材を、そのまま冷凍庫に入れるのもよくない。冷凍するとラップが浮いてはがれやすくなるため、乾燥から守れなくなってしまう。

他の食材からのニオイ移りも心配だ。冷凍用保存袋に入れて密封するひと手間で、しっかりおいしさをキープしたい。

解凍する時も「一気に」

おいしい解凍方法にもコツがある。前述の通り、食材が劣化するのはマイナス1度からマイナス5度の温度帯だ。冷凍と同様、解凍する際もこの温度帯を素早く通過させることがおいしさを保つ鍵となる。解凍によるダメージを防ぐことになるのだ。

例えば、野菜なら味噌汁の鍋や炒め物のフライパンに入れて一気に加熱して調理するのがおすすめだ。そのためにも野菜は、小松菜なら3cm幅、タマネギならくし形切りやみじん切りなどあらかじめ使いやすいサイズに切ってから冷凍用保存袋に入れて冷凍しておこう。

あらかじめ使いやすいサイズに切っておくのがポイント
あらかじめ使いやすいサイズに切っておくのがポイント

肉の場合は、薄切り肉なら凍ったまま加熱調理に使うとよい。厚みのある肉は、電子レンジで半解凍状態にして加熱調理するとドリップが出にくい。魚も同様に半解凍状態で加熱調理することでドリップを減らすことができる。魚なら流水解凍や氷水解凍がおすすめだ。

常温に置くと早く解凍されると思いがちだが、中心まで解凍される前に表面の温度が上がることで食材が劣化しやすかったり、忘れて放置すると雑菌が繁殖しやすかったりするため、生の食材では避けるのが無難だ。