安倍晋三元総理大臣を手製のパイプ銃で撃ち、殺害した罪などに問われている山上徹也被告(45)の裁判員裁判は、2日目の審理が行われています。
安倍元総理大臣が銃撃された際に、並んで立っていた自民党の佐藤啓参院議員が証人尋問で、銃撃後の安倍元総理について、「地面に倒れて目を開いていたが、一見して厳しい状態だと思った」と説明しました。
銃撃については「これまで体験したことのない大きい大きな音がした」と振り返りました。
■裁判2日目の山上被告 法廷で事件の映像流されるも表情変えず
2日目の裁判で、山上被告は初公判が開かれたきのう=28日には身に着けていなかった眼鏡をかけて法廷に入りました。
そして前半は検察側の証拠調べが行われ、安倍元総理が銃撃された際の映像が流されるなどしました。
映像が流れている間、山上被告は表情を変えませんでした。
■すぐそばにいた佐藤議員「一見して厳しい状態だと思った」
午後3時半過ぎからは、安倍元総理が銃撃された際に、すぐ近くに立っていた自民党の佐藤啓参議院議員に対する証人尋問が実施されました。
検察側の質問を受けた佐藤議員は「演説中にこれまで体験したことがない、大変大きな爆発音が2回した」と当時の状況について説明。
2回目の音がした後の安倍元総理の様子について「地面に倒れて目を開いていたが、一見して厳しい状態だと思った。意識があるか確認するため『総理、総理』と大きい声で声をかけた」と語りました。
■「『なんでこんなことをしたんだ』と声を上げた。涙を流していました」
そして「一瞬、何が起こったか分からなかった」と振り返り、次のように事件後について話しました。
【事件時に近くにいた佐藤啓参院議員】「安倍元総理の意識がないことに気づいて、『なんでこんなことをしたんだ』と声を上げたことを覚えています。怒りと悲しみ、涙を流していました。
聴衆は何が起こったか分かっていない状態で、われわれはとにかく安倍先生を助けなければと思い、心臓マッサージや止血など処置をしました。
その場で意識が戻ることはなく、搬送された病院で、夕方ごろに(安倍元総理の妻)昭恵夫人と安倍さんの遺体と対面して、改めて亡くなったことを知りました。昭恵さんは大変憔悴していました」
■「私の応援演説に来て…私のせいで安倍先生が命を失ったという思い」
また、自身の応援演説で安倍元総理が殺害されたことに自責の念があると明かすとともに、事件への思いを語りました。
【事件時に近くにいた佐藤啓参院議員】「私の応援演説に来て銃撃されて亡くなった。私のせいで安倍先生が命を失ったという思いだった。自責の念に堪えない。
安倍先生を慕うみなさんに大変申し訳ない。
選挙はすべからく民主主義の根幹で、現職の国会議員に対して、こういうことをするのは言論を暴力で封殺する行為。民主主義への挑戦だ。
あの場には支援者が多く来ていた、数百人来ていた。その方々が危険に遭う可能性もあった。大変危険な行為だと思います」