2025年3月24日の開業まで100日を切った新しい広島駅ビル。ちょうど100日前となった12月14日午前0時、JR広島駅に隣接して建設中のホテルの客室に「100」と「百」の窓文字が浮かび上がった。
7階の屋上広場に絶景スポット誕生
「3、2、1…点灯しました!」

日付が変わると同時に点灯したのは「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」の客室。広島駅の北側に「100」、南側には漢字の「百」の窓文字が大きくライトアップされた。
点灯は午後6時から午後10時まで再び行われ、広島駅周辺にはスマホで写真を撮る人の姿も。20代の女性は「本当にこれはめっちゃ楽しみ。待っていた」と興奮した様子だった。

通勤で広島駅を利用する人々は「ただただデカイなと。これだけいいシンボルができたら県外から来た人もいいじゃんとなりそう」「遊ぶのが全部広島駅で済みそう」「いろいろな飲食店ができるのですごい楽しみ。人通りも多くなると思うので活性化していい」と期待を膨らませている。

商業施設やホテル、それに映画館が入る新たな駅ビル。工事の進捗率9割を超え、大詰めに入っている。その現場が開業100日前となった12月14日、報道公開された。
注目ポイントの一つ、7階の屋上広場からは南側の眺望を楽しめ、ビルとビルの間に海も見える。そこに“抜群のロケーションスポット”としてつくられたのが7階から8階にかけての「大階段」。階段状のデッキに腰を下ろすと最高の景色が広がっている。真っすぐのびる駅前通りや、2階に乗り入れる路面電車も見渡せる。大階段を客席にして音楽やダンスのイベントも開く想定だという。

JR西日本広島駅ビル工事所・伊豫田裕所長は「駅ビルの解体工事が始まってから4年半ほど経った。新築から3年半が経ち、いよいよ開業まで100日。この階段に座って新しい景色を見ながら楽しんでいただけると思うと期待でいっぱいです」と長い工事期間を振り返った。
駐車場の総収容台数「752台」に
また、JR広島駅に隣接して9階~21階に客室を構える「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」。

20階と21階はホテルのコンセプトである「瀬戸内の玄関口」を五感で楽しめる空間で、客室の壁には瀬戸内海をイメージしたアートが飾られているほか、瀬戸内レモンの香りが広がるバスソルトも置かれていた。

ホテルグランヴィア広島サウスゲート担当の橋津大祐次長は「3月24日に向けて必死で認知を図っていきたい。国内外問わず、たくさんの方に来ていただけるような仕組みを作っていきたい」と話す。

駅ビルの開業に先立ち、新たな駐車場もJR広島駅北西に2025年1月15日オープン予定。「新幹線高架屋上駐車場」と連結し、総収容台数は752台になる見込みだ。
4階・6階の空間デザインを学生コンペ
一方、開業へ向けた動きに県内の学生たちも加わっている。新広島駅ビルの商業施設「ミナモア」の4階と6階の共用空間の活用方法について学生のアイデアを取り入れようと、ミナモアを運営する中国SC開発はコンペを開くことにした。

広島・呉市の呉工業高等専門学校。教室に集まった学生たちはコンペのための検討会議を開いていた。建築学科の5年生を中心としたメンバーがコンセプトなどの資料を参考にしながら想像を膨らませ、熱心に意見を交わしている。

6階の共用空間について考える学生たち。
「ここに何を置くか…。目印になるものと時計と…」
「自分たちでつくれるから実現の可能性はプッシュできるポイントだと思う。オブジェにしても自分たちでつくれるもののほうがいいのかな」

別のグループは4階の共用空間の使い方を話し合っている。
「吹き抜けとの関係は、光の受け渡しをどうしてもここで実現したいと思っていて」
商業施設の内装を提案する初めての機会。人の細かい動きをイメージしながら知恵を絞っていた。
若者がつくる“広島の玄関口”
同じくコンペに向けて力を注ぐのは、広島市の安田女子大学・造形デザイン学科の学生たち。

「人との交流ができる場所を考えています」
「この空間をつくることで、地元の人にも県外から来る人にも広島の良さに気づいてほしい」

ホワイトボードにアイデアを書き出したメモがぎっしり。学生たちは普段からデザインを学び、コンペに参加した経験もあるという。県内の大学など10校ほどがコンペに興味を示していて、2025年1月中旬以降に審査が行われる予定だ。

今回の学生コンペは、東京や大阪の流行りを安易に提供するのではなく、末永く愛してもらうには多くの人と一緒につくり上げることが大切だとの思いから企画された。中国SC開発・竹中靖社長は、新しい駅ビル開業までの日数を示すカウントダウンボードの前で「広島の街を楽しむ雰囲気や笑顔であふれる景色が頭に浮かんでいて、それを目指したい」と意気込みを語る。
新しい広島の玄関口にふさわしい空間を、若者の視点で実現してほしい。
(テレビ新広島)