東京都の公立中学校の生徒のうち、13人に1人が不登校との調査結果が明らかとなるなか、都は、生徒にとって居心地が良い学校を検証するプログラムを始めた。

東京都6番目のチャレンジスクール 都立小台橋高校
東京都6番目のチャレンジスクール 都立小台橋高校
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足立区にある都立小台橋高校生徒の多くは、小中学校で不登校だった経験がある。

この高校は、東京都で6番目のチャレンジスクールとして、不登校や中途退学した生徒でも、安心して学ぶことができる、時と場を提供するとしている。

「チャレンジスクール」校舎の中は?

校舎に入ると、ここは学校なのかと思わずにはいられない雰囲気だ。

まるでオフィスのような空間の職員室
まるでオフィスのような空間の職員室

まずは、職員室。
生徒が気軽に教員とふれあえるように、開放的な空間となっている。

廊下の両脇に教員がいるオープンスペースで、床は明るいタイルカーペット。

以前の職員室と比べると、驚くほどイメージチェンジされている。

校内につくられた居場所カフェ
校内につくられた居場所カフェ

2つ目は、居場所カフェ。

喫茶店のようにくつろげる空間でリラックスすることができ、気軽に何でも相談できる場所として、ソーシャルワーカーが配置されている。

1人で心を落ち着かせたい生徒のために、パーテーションで仕切られた席も用意されている。

サテライトオフィスのような空間 生徒たちが自由に使える
サテライトオフィスのような空間 生徒たちが自由に使える

3つ目が、ラーニング・コモンズ。

生徒が自主的に学べたり、仲間と議論したりできる場所で、窓の外には中庭が見え、自由に使うことが出来る。

授業でゴールを決め自分たちで正解を導く

高校では、2年次に進路について学ぶカリキュラムを用意している。

将来像をイメージしながら授業を受けられる(イメージ)
将来像をイメージしながら授業を受けられる(イメージ)

ジャンルは多岐にわたり、医療系であれば、歯科衛生士、理学療法士、医師、看護師などの将来像をイメージしながら、生徒が授業を受けられる環境が整備されている。

塩崎副校長は「これまでの授業は、黒板に向かって先生から教わることが多かった。今の時代にあった学校とは、生徒たちが自分たちで考え、学び方を教わり、それを教室のなかで実践していくことができる場所であるべきです。授業の中でゴールを決めて自分たちで正解を導いていく。教える側の教師たちも従来の手法から180度変わらなくてはならない」と話している。

「居心地向上委員会」がスタート

小台橋高校は、都の子供政策連携室が、教育委員会や医学総合研究所と連携し、学校の居心地をより良くするための「学校の居心地向上検証プロジェクト」をモデル的に行っている。

居心地の良いポイントとして、「自分らしくいられる」「お互いに信頼しあえる」「1人1人の意見が届いてより良く変えていける」の3点があげられている。

生徒を主体とした「居心地工場委員会」発足(イメージ)
生徒を主体とした「居心地工場委員会」発足(イメージ)

2学期からは、生徒が主体となった「居心地向上委員会」が発足した。

今後、生徒から提案された意見や要望を検討し、学校と相談しながら改善策を進めていくことになる。

この居心地委員会の活動と、学校全体での活発な議論と改善に向けた取組が、プロジェクトを進める鍵となる。

小台橋高校の取り組みを踏まえて、取り組みの効果を検証しながら、都は不登校などを未然に防ぐ仕組みや、予防的な考えを導き出していきたいとしている。

大塚隆広
大塚隆広

フジテレビ報道局社会部
1995年フジテレビ入社。カメラマン、社会部記者として都庁を2年、国土交通省を計8年間担当。ベルリン支局長、国際取材部デスクなどを歴任。
ドキュメントシリーズ『環境クライシス』を企画・プロデュースも継続。第1弾の2017年「環境クライシス〜沈みゆく大陸の環境難民〜」は同年のCOP23(ドイツ・ボン)で上映。2022年には「第64次 南極地域観測隊」に同行し南極大陸に132日間滞在し取材を行う。