「養殖も冷凍も便利な技術な一方で、市販されている養殖魚は10種程度と限られています。また、冷凍も技術が向上し生鮮との違いが判らないレベルのものもありますが、取れたての鮮魚と比較すると食感が変わってしまう場合もあります。何より市場に並ぶ魚介類は700種類以上。ホタルイカのように、生食用は必ず冷凍してから流通されるものや、フグのように毒を取るのに免許が必要なものもあります。安全性も考えられながら消費者が選択できるようになっています。海に囲まれた日本で、旬を感じながら天然魚の奥深いおいしさを多くの人に知ってもらいたいですね」

なお早武さんは、魚の魅力にハマり、日常的に魚をさばいて刺身を食べて25年以上。アニサキスを酢に入れて数日間死なない動画を撮影し、初心者向けにしめサバの冷凍処理を推奨するなど、安全に食卓を囲むための注意喚起も行っている。
「安全に天然魚を食べるためには、魚をさばく腕を上げ、自分でアニサキスを見つける力をつけるのも一つの方法です。不安なら冷凍するのも賢い方法。緊張せずにチャレンジしてほしいですね」
次回の記事では、早武さんに教えてもらった家庭で安全なお刺身を作る方法について紹介する。
参考:魚食普及推進センターHP(https://osakana.suisankai.or.jp/health_safe/5258)
■【次の記事を見る】家庭で安全に刺身を食べる方法
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刺されたら?駆除は?“害虫”対策
早武忠利(はやたけ・ただとし)
一般社団法人大日本水産会魚食普及推進センター事業課長、水産庁長官任命「お魚かたりべ」、キッズキッチン協会理事、官民連携フォーラム江戸前ブランド育成PT副PT長、名誉海老大使。琉球大学卒、東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。専門は保全生態学、生態学、形態学。著書に、『ハヤタケ先生の魚食大百科』(少年写真新聞社)、『科学で考える食育絵本 魚の教え』(上・下/群羊社)監修。