テカテカ黒光りした見た目、瞬時に方向を変えて猛スピードで走り去るトリッキーな動き、どこに着地するのか予測できない不安定な飛翔…。ゴキブリは、見た目、行動、どれをとっても人を不快にする要素が満載だ。

とはいえ、国民的な嫌われ者ゆえに人々の関心は高いようで、ゴキブリに関する都市伝説的な噂や、真偽不明な情報が巷にあふれている。はたしてなにがホントで、なにがウソなのか?害虫駆除の専門家でゴキブリの生態にも詳しい足立雅也さん(808シティ代表)にQ&Aスタイルで答えてもらった。

焼くと集まってくる?

――ゴキブリを焼くと、熱でフェロモンが拡散され近隣のゴキブリが集まってくるってホント?

これはおそらくウソだと思われます。

ゴキブリにはフェロモンを使って他のゴキブリを集める習性があるのは本当です。ゴキブリの糞のなかに含まれている「集合フェロモン」と呼ばれるものがそれで、オス、メスに関係なく同一種の仲間を特定の場所に引き寄せる働きを担っています。交尾目的というより、コロニー(群れ)をつくるためのフェロモンととらえていいでしょう。

ゴキブリは「集合フェロモン」で仲間を呼び寄せる(画像はイメージ)
ゴキブリは「集合フェロモン」で仲間を呼び寄せる(画像はイメージ)
この記事の画像(5枚)

ゴキブリがコロニーをつくるのは、単独よりも集団で生活したほうが早く成長し、繁殖期を早く迎えることができるからとも言われています。なぜ集団で暮らすと成長が早まるかの理由については、まだ明らかになっていないようです。

ただし、ゴキブリの糞に含まれるフェロモンは、そのまま放置しておくと2〜3日で消えてしまうほど弱く、不安定な物質です。高熱でゴキブリを焼いた場合、フェロモン成分は即分解されて仲間に届く前に消えてしまうはずです。

余談になりますが、個人的にはゴキブリの臭い汁が苦手です。ティッシュペーパーで捕まえたりすると、防衛本能から臭い汁を出します。その臭いはティッシュペーパーを突き抜けて、感触はありませんが手に届きます。一度指や手にニオイがつくと、洗っても2〜3日とれないので、みなさんも駆除の際は素手はやめておきましょう。