岸田首相が、党内の批判や“裏金”問題の責任を考慮し、勝利が難しいとの判断から、次期総裁選への不出馬を表明した。
総裁選では石破茂氏や小泉進次郎氏が国民人気を集める一方、小林鷹之氏や茂木敏充氏も支持を広げている。
決断はいつ…?総裁選不出馬を表明
岸田首相の総裁選不出馬について、フジテレビ・政治部の高田圭太デスクが解説する。
この記事の画像(11枚)青井実キャスター:
ーー突如入ってきた、岸田首相の次期総裁選への不出馬表明ですが、岸田首相は、なぜ不出馬を表明したのですか?
高田圭太デスク:
岸田首相は「自民党が変わることを分かりやすく示すため」と言っていましたが、このまま総裁選に突入しても勝つのは難しい、仮に勝っても、その先の衆院選を勝つのは難しいとの判断だったと思います。党内からの批判や、“裏金”問題で岸田派が立件されたことの責任も大きかったでしょう。
青井キャスター:
ーー岸田首相が、会見の中で珍しく自分の気持ちを前面に出した場面がありました。
岸田首相:
政治家としてやりたかったこと、そしてやるべきこと。それだけは…総裁選挙から撤退するにあたってもしっかり示していく、そういった政治家の意地みたいなものはあった。
青井キャスター:
ーー「意地」というコメントもありましたが、少し言葉に詰まるシーンもありましたね。
高田デスク:
本当はもっと早くやめたら楽だったけど、歯を食いしばって政治をやってきた自分への自負が感じられ、裏返せば、できればもっとやりたかったいう本音も垣間見えた気がしました。
青井キャスター:
ーー不出馬は、いつ決断したのですか?
高田デスク:
不出馬会見のあとに岸田首相と話した関係者によりますと、「岸田さんはサバサバしていた。不出馬はかなり前から決めていて、自民党のウミが自分の時に出たのは天命だと悟っているようだった」と言います。
お盆が明けたら総裁選モードになって、さまざまな議員が出馬表明します。その後の表明となると「勝てないから出馬をやめた」と言われてしまうため、その前に表明するのは、派閥解消などギリギリで先手を打つ岸田流の「最後の一手」だったとみられます。
青井キャスター:
ーー13日の夜、オリンピックのメダリストとの懇談が行われましたが、その時には、すでに決めていたのでしょうか?
高田デスク:
当然決めていたと思われますし、選手が帰国してすぐに懇談を入れたのも、そういう理由があったのかもしれません。
次の首相は誰?…総裁選レースの行方は
青井キャスター:
ーー今後気になるのが、総裁選レースの行方で「次の首相は誰になるのか?」ということです。
木村拓也キャスター:
世論調査で次の首相の上位にあがる石破茂元幹事長(67)と小泉進次郎元環境相(43)が出馬を模索していて、さらに、若手議員からの期待の声が高い小林鷹之前経済安保相(49)などは、出馬を見据えた動きを見せていました。
青井キャスター:
ーーこの構図が、岸田首相の不出馬で変わってくるわけですね?
高田デスク:
岸田さんの不出馬で、一気ににぎやかな構図になりそうです。まず、岸田さんを支える立場で、これまで声を上げづらかった現職幹事長の茂木敏充幹事長(68)、現職の閣僚である、河野太郎デジタル相(61)、高市早苗経済安保相(63)、この3名も堂々と手を上げられるようになりました。
さらに、もともと岸田派だったため、これまで出馬はあり得なかった上川陽子外相(71)と林芳正官房長官(63)の2人も、手を上げる可能性が出てきました。
青井キャスター:
ーーこの中で、誰が先行しているんですか?
高田デスク:
国民の人気だけですと、まず石破さんと小泉さんの2トップがやはり先行しています。そこに、若手で支持を広げている小林さん、自分の派閥を率いていた茂木さんが国会議員の支持で迫り、前回出馬した河野さんと高市さんも一定の支持があります。
青井キャスター:
ーーまだ横並びの状態ですね。
高田デスク:
ここで出馬に必要な推薦人20人を集められるかという要素を考えると、菅元首相が支持する可能性が指摘されている小泉さんがぐっと前に出てきます。一方で、石破さんは20人を集められるか見通せない状況です。
小林さんは、若手でおそらく20人確保できそうで、茂木さんも茂木派の議員を中心に確保できる可能性は高いです。河野さんと高市さんは、前回出ていますが、推薦人確保に向け懸命に動いているところです。
キングメーカーの動きでどう変わる?岸田派の動きにも注目
青井キャスター:
ーーまた、麻生さんなどキングメーカーたちも動きも気になりますよね?
高田デスク:
麻生さんは茂木さんとも親密ですが、麻生派に所属する河野さんもむげにはできない状況です。そして、岸田首相は全体を見渡す立場ですが、最終的に岸田派の人たちに「この人にしよう」、あるいは「この人にだけは入れないようにしよう」などを言える立場にあります。
スペシャルキャスター パックン:
ーー国民の支持を集めて総裁選に勝つという前例はありますが、国民に向けて政策を訴えるのか、議員に人気の公約を挙げるのか、その点はどう思いますか?
高田デスク:
その点は濃淡が出てくると思います。特に政治改革においては濃淡が出てくると思うので、どんな主張が出てくるか、われわれも見極める必要があると思います。
(「イット!」 8月14日放送より)