兵庫県知事のパワハラ疑惑を告発した元幹部職員が死亡したことを受け、県の職員の半数近くが加盟する労働組合が知事の辞職を要求した。

兵庫県 斎藤元彦知事
兵庫県 斎藤元彦知事
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【動画で見る】「告発した職員を守ることできず痛恨の極み」労働組合が知事に辞職要求 一方…知事は辞職を否定

■約4000人加入の組合がトップに「辞めろ」と要求

兵庫県職員労働組合 土取節夫中央執行委員長:告発をした職員を守ることはできなかったのは痛恨の極みです。知事として、取り得る最大限の責任を取って頂きたい。
ぜひとも知事にお伝え願いたい

知事に「辞めろ」と要求
知事に「辞めろ」と要求

10日午前、兵庫県の職員およそ4000人が加盟する労働組合の代表が、斎藤知事の辞職を副知事に申し入れた。

行政機関の組合が、トップに「辞めろ」と要求する異例の事態。

「ハラスメントをしている人にお墨付きを与える恐れがある」
「ハラスメントをしている人にお墨付きを与える恐れがある」

兵庫県職員労働組合 土取節夫中央執行委員長:
職員を守るのが組合。一掃しないといけないのに、ハラスメントをしている人にお墨付きを与える恐れがある

■知事の『パワハラ行為』告発の県民局長が死亡 自殺とみられる

発端となったのは、斎藤知事のパワハラ行為などを告発した元西播磨県民局長(60)が7月7日に死亡したことだった。

元県民局長が記した告発文
元県民局長が記した告発文

元県民局長は今年3月、斎藤知事が公務中に20メートル歩かされて職員を厳しく叱責したことや、企業からコーヒーメーカーの贈答を受けていたことなどを記した告発文を、報道機関などに配布。

県は内部調査の結果、告発文の内容は事実無根だとして、元県民局長を停職3カ月の懲戒処分とした。

その後、内容の一部が事実であることが明らかになり、強い調査権を持つ百条委員会が設置され、元県民局長も7月19日の会合に証人として出頭する予定だった。

しかし7月7日、姫路市内で死亡しているのが見つかった。

自殺とみられる。

「県民の信頼回復が望めない状況」
「県民の信頼回復が望めない状況」

この深刻な事態に加えて、「問題発覚以降、県政が停滞し、県民の信頼回復が望めない状況になっている」として、県の職員労働組合は異例の知事への辞職要求に踏み切ったのだった。

兵庫県職員労働組合 土取節夫中央執行委員長:
辞職を求める声は、もともと(元県民局長の)死亡前からあった。記者会見、この間、複数回ありましたが、(知事は)ずっと認めてこなかった。それどころか業務上必要なら大声を出すのはいいと受け止められかねない会見が続いた。
(元県民局長が)亡くなったという報道がありまして、やはり申し入れをしなければならないと思いました

「政治家として知事が判断」と副知事
「政治家として知事が判断」と副知事

 辞職の要請を受けた片山安孝副知事:
(進退は)政治家としての知事がご判断されるべきものだと思います。申し入れの内容は知事に適切に伝えたいと思います

そして、10日午後3時。

■辞職を否定した知事『職員との信頼関係を再構築』と繰り返す

労働組合から突きつけられた「NO」にどう答えるのか。注目の定例記者会見が始まった。

兵庫県 斎藤元彦知事:
組合の申し出については大変重く受け止めている。私としては、これから責任ある対応ということで、やはり『百条委員会』『第三者委員会』での調査を通じて、文書問題の対応をしっかりやっていく

「県政を前に進めるのが責任の果たし方」
「県政を前に進めるのが責任の果たし方」

Q.最大限の責任ある対応は辞職ではないという認識?

兵庫県 斎藤元彦知事:
やはり、日々の業務を一つ一つやって、県政を前に進めるのが責任の果たし方だと考えています

 Q.知事の対応に問題があった結果、職員が1人亡くなった。これ以上重い責任はなく、辞任すべきでは?

兵庫県 斎藤元彦知事:
私自身はやはり県政の立て直し、日々の業務をしっかり遂行して、県政運営を一歩一歩進めていくことが、自分自身の責任の果たし方だと思ってます

斎藤知事はおよそ2時間の会見の中で15回以上『職員との信頼関係を再構築』と繰り返し発言した。

「組合とも対話の機会を」と労組
「組合とも対話の機会を」と労組

10日の記者会見を受けて、県職員の労働組合は関西テレビの取材に対し「斎藤知事はこちらの要求を分かっていて逃げている。職員と対話するというなら、組合とも対話の機会を設けていただきたい」と話している。

■「組合から辞任要求は極めて異例」と首長経験者

尼崎市長を3期12年務めた稲村和美さんは「組合からの辞任要求は極めて異例だ」と指摘する。

前尼崎市長 稲村和美さん
前尼崎市長 稲村和美さん

前尼崎市長 稲村和美さん:
知事に辞職を求めるというのは、本来議会からの不信任であったり、有権者からのリコールであったりというのが通常。
この組合からの辞任要求は、ほんとに異例だと思います。
ですので、県庁の職場の雰囲気というのは、中々私たちにはわからないところもあるわけですけど、この一連のことを通じて、相当この職場が正常とは言えない状態になっているのかなという風にも推察されます。
第三者委員会や百条委員会の取り組みもまだ本格的に進んでいない中ですので、判断が難しいんですけども、ただやはりこれまでの対応が職員との信頼を構築するどころか、逆に職場の雰囲気を難しくするような対応だったというのは事実だと思うんですよね

兵庫県 斎藤元彦知事
兵庫県 斎藤元彦知事

斎藤知事は辞職について否定しているが、どういう形で責任をとるのか注目される。

関西テレビ
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