兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発した元県民局長が死亡したことを受け、10日午前、県の職員労働組合が「告発した職員が守れない、守られない組織は痛恨の極み。もはや県民の信頼回復が望めない状況」として知事の辞職を申し入れた。

職員労組による『辞職申し入れ』を受けて、斎藤知事は『辞職ではなく職員との信頼関係を再構築し、県政を立て直す』と表明した。

■知事の「パワハラ疑惑」告発の文書配布 「嘘八百」と知事 『事実無根』として懲戒処分に

元県民局長が配布した告発文
元県民局長が配布した告発文
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ことし3月、元西播磨県民局長(60)は、斎藤知事のパワハラ行為などを告発する文書を一部の報道機関などに配布した。

しかし、斎藤知事は当初「業務時間中に『うそ八百』含めて、文書を作って流す行為は公務員失格です」と語り、県は内部調査の結果、告発文は『事実無根』だとして、元県民局長を停職3カ月の懲戒処分とした。

■「うそ八百」ではなかった告発文

20メートル歩かされた知事が職員を叱責した現場
20メートル歩かされた知事が職員を叱責した現場

その後、告発文に書かれていたコーヒーメーカーの贈答について、幹部(55)が企業から受け取っていたことが判明。

さらに、知事も公務中に20メートル歩かされて職員を厳しく叱責したことなどを会見で認めるなど、告発文の内容が知事の言う「うそ八百」でないことが明らかになり、議会で内容の真偽を確かめるための強い調査権を持つ『百条委員会』が設置された。

■「百条委」への出頭に前向きだった元県民局長が死亡 自殺とみられる

19日の委員会に証人として出頭する予定だった元県民局長は、関西テレビが今月3日に取材した際「質問されるのが嫌だ、つらい」という状態ではなく「覚悟している」と話していて、出頭後には報道陣の取材を受けることも検討すると証言に前向きな姿勢を見せていた。

そんな中、7日に元県民局長が姫路市内で死亡しているのが見つかった。 関係者によると、自殺とみられる。

■「プライバシーの配慮」求めた元県民局長 「都合のよい身勝手な論理だ」という意見も

県の関係者は死亡前の様子をこう振り返っている。

県の関係者:百条委員会で知事の問題と無関係のプライベートな事柄を公表されることを気にしていた。

8日、元県民局長の死亡が明らかになる直前。 百条委員会ではプライバシーの配慮を求める文書を受けて臨時の理事会を開き、議論が交わされていた。参加した理事からは、「プライバシーは守られるべき。法的アドバイザーの意見を聞くべきだ」といった意見が上がった一方、「都合のよい身勝手な論理だ」という意見もあがったということだ。

■「告発した職員が守れない、守られない組織は痛恨の極み。もはや県民の信頼回復が望めない状況」知事の辞職求めた労組

職員労組が知事の『辞職』を申し入れ
職員労組が知事の『辞職』を申し入れ

そして10日午前、兵庫県職員労働組合は「告発した職員が守れない、守られない組織は痛恨の極み。安心して働ける職場づくりをやってもらいたい」 「文書問題の発生以来、現場の業務遂行には大きな支障が生じている状況であり、県政が停滞し、もはや県民の信頼回復が望めない状況」として、斎藤知事の辞職を申し入れた。

■「後輩たちがのびのびと仕事できるように、県政が変わっていってほしい」生前思いを語った元県民局長

兵庫県庁
兵庫県庁

死亡した元県民局長は生前、関西テレビの取材に対し「後輩たちがのびのびと仕事できるように、県政が変わっていってほしい」と語り「今の県政は意思決定のプロセスが正常ではなく、優秀な後輩が真っ当な扱いを受けられない状況」そういうことが許せず、抑止になればと思い、告発文を出したと話していた。

■『辞職ではなく職員との信頼関係を再構築し、県政を立て直す」と表明

兵庫県 斎藤元彦知事
兵庫県 斎藤元彦知事

元県民局長の死亡を受け、自身の『辞職』を求めた職員組合の申し入れに対し、斎藤知事は10日午後の会見で次のように述べた。

「これから責任ある対応ということで、百条委員会や第三者委員会における調査に応じて、文書問題についての対応をしっかりやっていくということがまず大事だと思います」
「その上で、これから時間はかかるかもしれないが、職員との日々の業務、対話などを通じた信頼関係の再構築をこれから一歩ずつ進めていくことが大事だと考えています」
「斎藤知事が変わったという風に思ってもらう、そして一緒に仕事していくことがいいと感じてもらえるように努力していくことが大事」
「よりよい県政を進めていくための『県政の立て直し』をしていくことが私にとっての責任だと思っていますので、その責任を果たすために、これからもしっかり対応していきたい」

兵庫県 斎藤元彦知事
兵庫県 斎藤元彦知事

そして『辞職ではなく職員との信頼関係を再構築し、県政を立て直す』と表明した。

(関西テレビ 2024年7月10日)

関西テレビ
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