6月とは思えないほど日差しの強い日が多いが、そこで気になるのが「紫外線」だ。梅雨入りすれば紫外線量も落ち着くように思いがちだが、実は天気にかかわらず紫外線はしっかり届いているため注意が必要だ。専門家に日焼けのメカニズムを含めて話を聞いた。
実感なくとも紫外線対策は必要
岩手・盛岡市にある佐々木皮膚科の佐々木豪院長は「紫外線にはUVA・UVB・UVCの3種類があり、そのうちUVAとUVBが日焼けに関係する」と話す。
この記事の画像(7枚)“UVB”は地上に到達する紫外線の約5%を占める。皮膚の浅いところにダメージを与えるため、皮膚が赤くなるサンバーンや水ぶくれの主な原因となる。
“UVA”は地上に到達する紫外線の約95%を占めている。皮膚の深いところ「真皮」まで到達するため、じわりじわりとシミ・しわ・たるみなどの皮膚の老化を招く紫外線だ。また、“UVA” は雲やガラスを通過してしまうので、梅雨の曇りの時でも肌に届き、室内でも日焼けをしてしまう。
梅雨時は強い太陽の光を感じない分、真夏と比べ紫外線を浴びている実感がない。しかし実際は多くの紫外線を浴びているので同じように紫外線対策が必要だという。
どんな天気でも紫外線は肌に届く
佐々木院長の話にもあったように“地上に届く紫外線のほとんどが雲を通過してしまう”という。
快晴の時の紫外線の強さを100%とした場合の天気ごとの割合が、雲が空をほぼ全て覆っていたとしても紫外線の強さは快晴時の約60%、薄曇りの場合では約80%から90%と、十分強いことには変わらない。また、雨が降っていても紫外線の強さは30%ほどとなっている。
天候によってはつい油断しがちだが、どんな天気でも紫外線は届いているため、対策をしっかり行わないとダメージが蓄積して肌の老化にもつながっていく。
佐々木院長は「長いこと毎年毎年日焼けをすると、皮膚への影響が蓄積する。これがシミ・しわ・たるみの原因となる。このような紫外線が引き起こす皮膚の変化を、最近の新しい言葉で『光老化』と言う。UVAやUVBは曇りでも必ず我々の肌に注いでいるので、雨が降っている、曇りがちだからと対策をしないと、数年後に影響して『光老化』となる」と警鐘を鳴らす。
日焼け止め やみくもに使うのはNG
紫外線対策のグッズとして主なものに「日焼け止め」があるが、この時期は店頭に様々な種類が並んでいる。選ぶときは「SPF値」と「PA値」をチェックすることが大事だという。
「SPF」は3種類ある紫外線のうち「UVB」を防ぐ効果を1から50プラスまでの数値で表したもので、数値が大きいほど効果も大きいということになる。
「PA」は紫外線の一つ「UVA」を防ぐ効果を、PA1プラスからPA4プラスのように4段階で示しており、プラスマークが多いほど効果が大きい。
この「SPF」と「PA」は日焼け止めを使う場面や体の部位によって、どのくらいの値のものが適するか異なってくるという。佐々木院長によると、「やみくもに強い日焼け止めを毎日使うことも肌にダメージを与える。SPF・PA値が高いほど肌にとって刺激になる可能性がある」という。
首・顔の肌の弱いところはSPF20から30前後、PAは1プラスから2プラスくらいの日焼け止め。
首から下は、7月から8月のものすごく暑い日はSPF50を使い、それ以外の時期は30から50のものを使用するのがおすすめだという。また、曇りの日はSPF20から30前後のものを4、5時間に1回塗り足す程度で、紫外線対策としては十分だ。
これからの時期は、外に出て日光を浴びる機会も増える。梅雨の時期だから、曇っているからと油断せず正しく対策をすることが大切だ。
(岩手めんこいテレビ)