6日未明、韓国の脱北者団体が北朝鮮に向けて、金正恩総書記を批判するビラを風船で飛ばした。袋の中には、日本でも一大ブームを起こした韓国ドラマ「冬のソナタ」などを保存したUSBメモリーも入っていた。
脱北者団体は200回以上“風船”飛ばす
真っ暗な中で浮かび上がる、正恩氏の顔が描かれた紙。

10個の風船にくくりつけられたビラには、正恩氏と金与正氏が描かれ、次のようなせりふが書かれていた。

金与正氏:
お兄さん、ひどくないですか?
金正恩氏:
大丈夫だ

これまで200回以上に渡って、風船で批判のビラや支援物資を飛ばしてきた韓国の脱北者団体。その対抗として北朝鮮は、5月下旬から6月にかけて2度、ゴミや汚物をぶら下げた“汚物風船”を韓国へ大量に飛ばしてきた。
「愛を送っているのに汚物ゴミを送るかね…反人道的な蛮行」
5月、FNNの単独インタビューに応じた脱北者団体のパク・サンハク代表は、「私たちは北朝鮮に今まで薬も送って、ドルも送っている。愛を送っているのに、ここに汚物ゴミを送るかね? これは反人道的な蛮行だよ」と憤る。

北朝鮮はさらに、再びビラがまかれた場合は、「100倍の紙くずとゴミを集中散布する」と“100倍返し”を警告してきた。

こうした中で再び始めた、風船を使ってのビラの配布。今回は「冬のソナタ」のほかに、北朝鮮で人気が高い歌謡曲を収めたUSBメモリーや、1ドル札2000枚を一緒に飛ばしたと明らかにした。

このようにビラやドルなどを送る理由として、「北朝鮮住民が最も困難で苦痛なのが、経済的苦難、貧困のためだ。1ドル札を送ると、北朝鮮の市場で20倍の値段で闇流通される。私たちはお金を送るが、自由民主主義の思想精神も送るのだ」と説明する。

韓国ドラマの視聴が禁止されている北朝鮮。風船とともに韓国の“文化”を送ることで北朝鮮内で政権への不信感を高め、体制を弱体化させる狙いがあるものとみられる。
北朝鮮からの“100倍返し”の汚物風船がやってくるのか。報復の応酬となる恐れがある。
(「イット!」6月6日放送より)