老朽化のため広島・竹原市の移動図書館車が引退することになり、地元の小学生によるお別れ会が開かれた。「本バス」の愛称で親しまれた車両はお役御免?いや、日本を飛び出し、意外な場所で次の活躍が決まっている。
「本バス」の愛称で親しまれ15年
移動図書館車の「わかたけ3号」 。竹原市の3代目の車両として2009年春からの15年間、地球1周分を超える約5万キロを走ってきた。
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五十川裕明記者:
車内の両側に立派なつくりの本棚があります。最大2,000冊を積むことができるそうです。文字通り、移動する図書館ですね
![2,000冊を収容可能な本棚をリポートする五十川記者](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/0/700mw/img_10e98cf6d088b44f8b50abccdc20f694192261.jpg)
本のバス=「本バス」の愛称で親しまれたこの車両に4月15日、地元・竹原小学校の児童たちが感謝の言葉を贈った。
「たくさんの本を届けてくれてありがとう」
「自分の世界が広がりました」
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日本を飛び出し、遠い海外で活躍
主に竹原市内中心部から離れた図書館を利用しにくい地域をまわり、子どもたちに本の温もりを届けてきた。車両の老朽化が進み、新しい車両が導入されたことが「引退」の理由。ところが“第二の活躍の場”が待っているという。
竹原市教育委員会・沖本太教育次長:
次は南アフリカ共和国で子どもたちにたくさんの本を届けることになっています。「わかたけ3号」が届けた本を手にとり、笑顔になっている姿を想像するとワクワクします
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「わかたけ3号」は仲介役のNPO法人などを通じて南アフリカに海上輸送される予定だ。現地でも移動図書館車として活躍することになっている。
南アフリカは飛行機を乗り継いでも片道20時間以上がかかる地球のほぼ真裏。なぜ、はるばる南アフリカなのだろうか?
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南アフリカの“識字率”向上のために
実は南アフリカのNPO法人と連携して、日本の移動図書館車を送る団体がある。東京のNPO法人「サペーシ・ジャパン」。使わなくなった移動図書館車を全国の自治体から譲り受け、これまでに50台以上を譲渡してきた。
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移動図書館車の本棚はカラフルな外国の本に衣替えし、たくさんの子どもたちが集まっている。現地で本を手に取る子どもたちの嬉しそうなこと。
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南アフリカは1990年代初めまでアパルトヘイト=人種隔離政策が実施された。その影響で今も教育格差が残っている。図書館のない学校が多く、“識字率”は決して高いとは言えない。直近の海外メディアの報道では、南アフリカの9歳から10歳の子どもの8割が読み書きに何かしら困難を抱えているというデータもある。
仲介役を担っているNPO法人は南アフリカの教育格差の縮小や識字率の向上を目的としていて、移動図書館車の意義についてこう話す。
NPO法人 サペーシ・ジャパン・鈴木俊幸 事務局長:
日本くらい読書環境に恵まれた国はない。多分、他の国には移動図書館車はないと思いますよ。言葉が理解できないと収入のいい仕事につけないとか、貧乏なままにとどまってしまうという現実があるので
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竹原市で本を届けてきた移動図書館車は今後、南アフリカの未来のために「本」と「希望」をのせて走り続ける。
(テレビ新広島)