花の都で100年ぶりに開催されるオリンピック。

エッフェル塔をバックにビーチバレーが開催され、コンコルド広場ではブレイキンやスケートボード、さらにベルサイユ宮殿の庭園では馬術が行われる。

街全体が舞台となる五輪に多くの人たちが心躍らせ、2月に実施された世論調査ではフランス人の半分以上が期待を示した。

何とも華やかだが、市民生活に目を向けると厳しい現実が待ち受ける。

パリの地下鉄
パリの地下鉄
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オリンピック期間中にパリを訪れる観光客の数は、約1500万人。期間中に公共交通機関を利用する人の数は、通常の2倍の1日100万人が見込まれ、地下鉄やバスは、日本の通勤ラッシュさながらの寿司詰め状態となることが予想される。

少しでも混雑を緩和しようと、政府はパリで働く人たちには、なるべくテレワークに切り替えるよう呼びかけている。

地下鉄の通路でテレワークを呼びかける看板
地下鉄の通路でテレワークを呼びかける看板

何?家にこもってテレワーク?だったら…とパリジャンは考える。いっそバカンスを取って、どこかへ行っちゃおう、と。

今、パリジャンは”100年に1度”の重大な選択を迫られている。パリにとどまり五輪をとことん楽しむか、喧噪を逃れて脱出するか…。あなたならばどうする?早速街で聞いてみた。

「パリからは離れたい!」「混雑と混乱が怖い」街から聞こえた様々な声

――五輪中はどこで過ごしますか?
パリ在住・女性65歳:
会社はテレワークを認めたから、私は絶対にパリに残りません!
知り合いもみんな、とにかくパリから離れたいと言ってますよ!

――パリに残らない理由は?
公共交通機関は大変なことになるし、物価も上がって、パリは息苦しくなります!競技のチケットも高すぎて、五輪なんて興味ないよ!

――政府はテレワークを呼びかけているが、どう思いますか?
パリ勤務・男性42歳:
テレワークできる人と、できない人はいます。
私はテレワークできないので、なるべく休みを取ります。

――五輪期中の予定は?
オペラ座の近くに住む女性28歳:
テレワークをパリでするか、南西のボルドーでするか迷っています。
パリ五輪はきっと素晴らしいから、見てみたいけど、混雑と混乱が怖いので、気持ちは半々です。

地元メディア(BFM-TV)が今月公開した世論調査では、パリと近郊の住民に聞いたところ、半分近くの47%が「期間中は離れたい」と答えた。

バカンスに行くかパリの満員電車に揺れるか 決断のときが迫る
バカンスに行くかパリの満員電車に揺れるか 決断のときが迫る

見逃すのはばかばかしい選択」市長が急遽呼びかけ

まさかのパリジャン不在のパリ五輪…とはさせまいと、アンヌ・イダルゴ市長が急きょ市民に呼び掛けた。

一緒に盛り上がりましょう!行かないで!最高の大会になるから、見逃すのはばかばかしい選択よ!”

市長の叫びはパリジャンの心に届いたのか?

観戦チケットを購入予定・男性25歳
観戦チケットを購入予定・男性25歳

観戦チケットを購入予定の男性25歳:
五輪は海外の人もパリの人もみんなが期待している大イベントで、フランスが開催できるのは貴重な機会だよ。競技を見るために休みを取って、あとはアパートからテレワークしようと思っています。

――市長がパリに留まるよう呼びかけているが?
大賛成!残るべきです。パリのダイナミックで賑やかな光景を見せるためにも、世界中から来る選手と観客をしっかり歓迎しないとね。

――市長の呼びかけをどう思う?
五輪期間中にテレワークしたい男性22歳:
観戦チケットを持っている人は高いお金を出したから、存分に楽しめばいいけど、パリジャンは毎日パリを満喫しているので、今回は観光客に譲ればいいと思います。

パリに残るか、それとも出て行くか。パリジャンは今、この夏の過ごし方を左右する重大な選択を突きつけられている。果たして彼らが下す決断は…そしてあなたならどうする?

ルアナ・モセ
ルアナ・モセ

異文化と多様性を目指す

フランスとブラジルのハーフ。 フランス国立東洋言語文化大学で日本語と国際関係を勉強した後、立教大学に留学し社会学を専攻。 大学中からFNNパリ支局で取材を手伝っている。