大会の2つのマスコット「フリージュ」を紹介しよう!

オリンピックとパラリンピックで、それぞれほぼ同じデザイン、パラリンピックは右足が義足になっている。

©Paris2024
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オリンピック・フリージュは計算高く賢い戦術家。しかし、性格は控え目で、感情を隠したがり、実はツンデレだったりする?

一方、パラリンピック・フリージュは、何かしていないと落ち着かず、新しいことに挑戦することが大好き。一緒にいると元気がもらえる、そんな明るく活発な存在だ。

この2つのフリージュが一体となって、世界中から集まった選手たちを皆と一緒に応援し、スポーツへの愛と熱気をアピールする。

ちなみに、フリージュはクレープの鍋返しが得意なほか、ファッションセンスにも優れているという。フランスならではである。

©Paris2024
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そもそも「フリージュ」ってなに?

フランス革命の時に、市民が被っていたフリジア帽をモチーフにしていて、「自由」を象徴している。フランスの国旗の青・白・赤があしらわれ、スポーツを通して革命の一歩を踏み出す。

しかし、オリンピック・パラリンピックという国民的一大イベントのシンボルの評価は厳しいものだった。

SNSでは…
「ひどすぎる!」
「これならバゲットのほうがよかった」
「ハトにしか見えない」

地元メディアも冷ややかで、客観的に紹介するだけの記事もあれば、SNSの厳しい反応を紹介する記事もあったが、フリージュを称える記事は、残念ながらほとんど見られなかった。

アメリカのUSAトゥデイに至っては、1996年アトランタ五輪のマスコット「イジ―」が五輪史上最も醜いとされていたが、その不名誉な地位がフリージュに取って代わられたと伝えた。

フリージュの知名度はどこまで浸透した?

発表から約1年半、フリージュの知名度はどこまで浸透したか、パリジャンに聞いてみた。

パリ生まれパリ育ちの男性(67歳)
パリ生まれパリ育ちの男性(67歳)

――このぬいぐるみが何か知ってますか?
テレビで見たよ。マスコットだね。何を象徴しているんだろう。。。フリジア帽かな?

――名前は?
知らない。

――かわいいと思いますか?
何とも言えないね。足を見るとオリンピックとパラリンピックで分けているのは分かるけど、正直あまりかわいくないね。

シャンゼリゼ通りで話を聞いた学生たちは…。

――マスコットを見た印象は?
(学生・女子20歳)赤い三角形?クロワッサン?ファミリレスによくあるぬいぐるみかと思った。五輪との関連はよくわからない。

――どんなマスコットがよかった?
エッフェル塔のようなパリを象徴するモニュメントかな。

――パリ五輪のマスコットとしてどう思う?
(学生・女子22歳)観光客はフリジア帽を知らないし、普遍的なシンボルではない。世界中の人々を歓迎するためにフランス革命の象徴を使うのは違うと思う。

厳しい意見が続出したが、愛情ある反応を求めて取材を進めると、こんな親子に出会った。

母親(40歳)と息子(8歳)
母親(40歳)と息子(8歳)

(小学生8歳)これは見たことがあるよ!学校の運動会にも来たんだ。2024パリ五輪のマスコットだよ!とてもかわいい!

――どう思う?
(母親40歳)素晴らしいと思います。こうやって体の不自由な人のことも思い、みんなが一緒に参加できるという意味合いが好きです。
(小学生8歳)そう!病気を抱えても、障害があっても、みんなが五輪に挑戦できるんだよ!

フランスの歴史の重要な1ページを飾ることになるフリージュたちの地道な活動は、この少年の心に確かに響いていた。

心ない言葉を投げられても、持ち前のツンデレと明るい性格で乗り越え、スポーツを通して世界中を一つにするその懸命な姿が、いずれ人々の心をつかみ、必ずやみんなの人気者になると信じている。

ルアナ・モセ
ルアナ・モセ

異文化と多様性を目指す

フランスとブラジルのハーフ。 フランス国立東洋言語文化大学で日本語と国際関係を勉強した後、立教大学に留学し社会学を専攻。 大学中からFNNパリ支局で取材を手伝っている。