ナワリヌイ氏“釈放間近だった”　水面下で囚人交換計画　支援団体幹部「プーチン氏の意向で殺害された」

ナワリヌイ氏の陣営の幹部が「ナワリヌイ氏は、囚人交換交渉により釈放される予定だった」と明らかにした。
しかし、ナワリヌイ氏は予定日前に死亡。
ナワリヌイ氏の支持者はプーチン氏の意向で殺害されたと主張している。

囚人交換前に死亡

16日に死亡したロシアの反体制指導者・ナワリヌイ氏の陣営は、死亡した前日に「囚人交換」の交渉が最終段階にあったと明らかにした。

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陣営の幹部は26日、動画メッセージを公開し、「ナワリヌイ氏は、アメリカ人の囚人2人とともにドイツで服役中のFSB（ロシア連邦保安局）のロシア人1人と身柄交換で釈放される予定だった」と明らかにした。

交渉は、ロシアの新興財閥オリガルヒの1人であるアブラモビッチ氏が仲介し、プーチン大統領側にも伝えられていたという。
陣営は今週末、モスクワでお別れの会を開くとして、会場の提供を呼びかけている。

ここからは、フジテレビ・立石修取材センター室長がお伝えする。

支援者によると、ナワリヌイ氏との囚人交換の対象となっていたのが、ドイツで殺人罪で服役しているロシア連邦保安局の“ヒットマン”、いわゆる工作員の男とみられている。
この交換交渉が水面下で行われていた。

ところがその最終段階、釈放直前でナワリヌイ氏が殺されたとして、支援者たちは怒りをあらわにしている。

26日の夜に公開されたナワリヌイ氏の支援活動を行っている団体の幹部・マリア・ペフチフ氏の動画では、プーチン大統領が16日にナワリヌイ氏を殺害したと断言したうえで、なぜこのタイミングだったのか、次のように話している。

ペフチフ氏は「なぜ今、彼を殺したのか。交換が成立していたので、ナワリヌイ氏はあと数日で自由になるはずだった。2月15日の夜に、交渉が最終段階にあるとの情報を得ていたが、ナワリヌイ氏は16日に殺された」と話した。

ペフチフ氏によると、ナワリヌイ氏が死亡する2月16日の前日、囚人交換交渉、つまり釈放に向けた交渉が最後の詰めを迎えていた中で、ナワリヌイ氏が死亡した。
プーチン氏の意向で殺害されたと主張している。

プーチン氏が交渉を打ち切ったか

この「囚人交換」、ナワリヌイ氏と交換される相手はどのような人物だったのだろうか。

ナワリヌイ氏と交換の対象となっていたとされるのが、2019年にドイツのベルリン中心部の公園で、プーチン氏に反発する重要人物を銃殺し逮捕された、ワジム・クラシコフというロシア人だ。

このクラシコフ氏は、ロシアで特殊作戦を行う連邦保安局FSBの重要幹部で、プーチン大統領が高く評価しており、釈放を強く模索してきたとされる。

今回の交渉には、アメリカ、ヨーロッパの当局者が参加。
ロシア側は、プーチン氏と親しい大富豪で、かつてはイギリスのプレミアリーグ・チェルシーのオーナーだったアブラモビッチ氏も関わったとされている。

この交渉について、ドイツ当局などは存在を認めていないが、西側にとってナワリヌイ氏は重要な人物であり、水面下で折衝が続けられてきたとみられる。

しかし、ナワリヌイ氏の支持者・ペフチフ氏によると、最終段階でプーチン氏が「ナワリヌイ氏が自由になることは耐えられない」として、直前で交渉を打ち切ったと考えており、その後に突然死亡したとして強く批判している。

ただ、ウクライナ戦争中に西側とロシアとの間で囚人交換というのは、そもそも行われる可能性はあったのだろうか。

日本人からすると、超法規的措置との印象を受けるが、最近でもアメリカとロシアとの間で「囚人交換」が行われた例がある。

2022年7月に、ロシア・モスクワ近郊で違法な薬物を所持しているとして拘束されたアメリカの女子プロバスケットボール選手、ブリトニー・グライナーさんと、アメリカで逮捕され禁固25年の刑を受けたロシアの武器密輸商人、ビクトル・ボウト氏の間で、囚人交換が2022年12月に行われている。
これはバイデン大統領とプーチン氏が合意したものだ。