高い血糖値を下げ、食欲や胃の動きを抑える効果もあるため、糖尿病治療に用いられている「GLP-1受容体作動薬」。

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今、この糖尿病治療薬や“同じ成分”を持った薬を、「ダイエット」目的で使用する人が増えているといいます。ネット上にも「食事制限・運動なしで痩せられる」「医師推奨」などの文句をうたった様々な広告が…。

(※GLP-1受容体作動薬で現在日本において、製造販売承認を取得しているのは2型糖尿病・肥満症の治療薬)

実際に、同じ成分の薬をダイエット目的で使用したことがあるという女性に話しを聞くと、その効果と“問題点”が明らかになってきました。

30代女性:
吐き気と、あと気分が乗らないというか。常にズーンみたいな。気分が下がるみたいな感じがありました。(使用した理由は)簡単に痩せられるんじゃないかというのが一番強かったです。注射打つだけで痩せられるんだって。

女性は約15万円かけて、2カ月間で2kgほど減量。しかし薬の副作用を理由に、使用をやめたといいます。

ダイエット目的で「GLP-1受容体作動薬」を使用していたという別の女性も、副作用に苦しんだと話します。

20代女性:
1カ月で3~4kgぐらいは痩せていました。結構、頭痛があったのと、ずっと胃がムカムカしている感じ。

治療以外の目的で相次ぐ糖尿病治療薬の使用。
この事態を受け、厚生労働省は1月29日にウェブサイトなどの医療広告ガイドラインを見直す方針を発表。効果や安全性が確認されていない使い方をする薬について、本来の使い方ではないことなどを示すよう求めています。

糖尿病患者以外が使う“リスク”

糖尿病治療薬は、飲み薬や注射するタイプのものがあり、ダイエット目的としては承認されていませんが、全額自己負担の自由診察なら医師が処方することができます。

「めざまし8」が、使い始めて11日目だという女性に、なぜ使用するのか聞いてみると、以下の答えが返ってきました。

ダイエット目的で糖尿病治療薬を使用している女性(50代):
朝起きてすぐに毎朝1錠だけで、お水150ccで飲んでそれだけです。
40代までは痩せてるねってよく言われていたんですね。昨年ぐらいから、「太ったんじゃないの?」って立て続けに言われるようになって。このお薬どうかなって思って、それで購入したんですけど。ご飯は元々減らしていたんですけど、それでも少量でおなかいっぱいになって「あ~もういいわ」っていう感じで。

この女性は、11日間で2kg体重が落ちたといいますが、口が渇きやすくなるなどの症状が出ているといいます。また、他の使用者も、頭痛や胃のむかつき、吐き気などの症状を訴えています。

吐き気・おう吐、食欲低下・倦怠感などの副作用がある、糖尿病治療薬「GLP-1受容体作動薬」。ダイエット目的での使用について製薬会社は、「糖尿病」「高血糖」でない人への処方はデータがなく危険性が伴うとの見解を示しています。
さらに、日本医師会によるとすい炎のリスクが“9倍”になるという研究結果もあるということです。

糖尿病専門医の田中祐希医師は、ダイエット目的での糖尿病治療薬の使用について、こう話します。

糖尿病専門医 田中祐希医師
糖尿病専門医 田中祐希医師

糖尿病専門医 田中祐希医師:
糖尿病の患者さんが使う分には使いやすいお薬ではあるのですが、日本医師会の研究で示されているすい炎のリスクについても、0.1%未満と言われているのですが、あくまでもそれは安全性を検証された対象者であって、検証がなされていない方々が乱用すると、想定していないリスクが出る可能性もありますので、そこが危険なのかなと。
また、そのような目的の方にお薬を持っていかれてしまうと、実際に糖尿病患者さんがお薬を使用したくてもできないということも、かなり起こってしまいまして、困ったということもこれまでにありました。

フジテレビ解説委員 風間晋氏:
自由診療だと言われたら、「使用法以外の使用の仕方をしますよ」と言っているのと同じじゃないですか?つまりそれは、お医者さんが処方箋をお金で売ったということでしかないので、そこら辺をどういうふうにやっていくかというだけの話じゃないかなと思いますけどね。

MC谷原章介:
お医者さんの善意といいますか、医者としての倫理観にかかっているのですかね。
(「めざまし8」2月1日放送より)