11月に行われた技能五輪の全国大会で、山形・天童市の若手家具職人が大会史上初の3連覇を達成した。成し遂げた偉業にも慢心せず、早くも新たな挑戦に向かっている。

初の3連覇「プレッシャーからも解放」

「大会史上初の3連覇ができた。すごく重みがあってうれしい」

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輝く金メダルを首にかけ、喜びを口にしたのは、天童市の家具メーカー「天童木工」に務める入社4年目の石橋葵さん(22)。

11月、愛知県で開かれた原則23歳以下の若手が技能レベルを競う「技能五輪全国大会」で最高賞の金賞を獲得。大会史上初めてとなる3連覇を成し遂げた。

天童木工・石橋葵さん:
初めて3連覇する。過去に誰もできなかったことをできるのか不安だったので、そういうプレッシャーからも解放されて結果も出せて、みんなに喜んでもらえたのはすごくうれしくて、すぐ泣いてしまった

集中力を高めるための練習

大会での課題は、2日間、あわせて11時間の制限時間内に図面通りにキャビネットを完成させること。

プレッシャーに打ち勝ち、本番でも冷静に対応できるよう、今回はこれまで以上に練習量を増やし、大会に臨んだ。

天童木工・石橋葵さん:
通し練習と言って、実際に11時間かかる練習を去年までは「2日に分けて本番と同じようにしていた」が、今年から「1日で11時間を計って1個作る」という練習をしたので、集中力が去年より高まったと思う。本番までに22個~23個作った

3連覇達成のカギは普段の仕事にもあった。

天童木工・石橋葵さん:
手加工は自信があったが、細かい調整がまだうまくなかった。仕事では特に調整が大事で、見た目に直接関わってくることが多いので、そこはすごく勉強になり、成長したと思う

仕事では“ミリ単位”の細かい調整が求められる
仕事では“ミリ単位”の細かい調整が求められる

2022年から、主に棚などの特注家具の組み立てと加工を任されるようになった石橋さん。ミリ単位の細かい調整が求められ、隙間がなくきれいで使いやすい家具づくりを積み重ねてきたことが大会でも生かされた。

天童木工・石橋葵さん:
まだまだ下手なので隙間が空いている。これをどれだけきれいにできるかを、今後練習して上達できればと思う

ベテラン職人が集う大会に“最年少”で

ずっと目標にしてきた3連覇を実現させた石橋さんだが、早くも新たな挑戦へと向かっていた。

2024年2月に開かれる大会の課題練習
2024年2月に開かれる大会の課題練習

天童木工・石橋葵さん:
「技能グランプリ」の課題の練習で、箱の部分を作っている

2024年2月に開かれる技能グランプリは、1級技能士の資格と県の協会からの推薦がなければ出場できない、よりレベルの高い大会だ。まさに選び抜かれたベテランの職人が多く集う大会に、最年少として挑むことになった。図面通りにち密な課題作品を仕上げる練習を、仕事と両立させながら日々行っている。

天童木工・石橋葵さん:
作りながら「どんなふうにすればきれいになるかな」とイメージしながら作ると、すごくワクワクする。初めて出る大会だが、完成だけでなく、上の賞を獲れるように本気で頑張る

若手家具職人 さらなる目標へ
若手家具職人 さらなる目標へ

「自分も、見る人もみんながきれいと思える作品を作りたい」

石橋さんは、家具職人としてのさらなる高みを目指している。

(さくらんぼテレビ)

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