愛犬の写真が入ったペンダントを紛失…SNSの力によって手元に戻るまでの一連の投稿がＸ（旧Twitter）で話題になっている。

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投稿したのは、ミックス犬「けやき」ちゃんの飼い主さん（@e_hagure）。

飼い主さんには、長く“宝物”にしているものがある。2020年1月に天国に旅立った愛犬・けやきちゃんの写真入りのペンダントだ。

このペンダントは、飼い主さんの友人が手作りしたという一点もの。外出時は必ず身につけていたそうだが、ある日、出先で紛失してしまったのだ。

飼い主さんは紛失に気づくと、すぐさまXに立ち寄った新宿など心当たりの場所の情報とともに「もし見つけた方がいらっしゃったらご連絡ください」「奇跡を念じて…」などと投稿。

投稿はたちまち“拡散”され、多くのXユーザーが「探してみます！」「全力拡散致します」と声を挙げた。

飼い主さんが最初の投稿をしたのは10月5日。3日経っても発見には至らなかったものの、多くのXユーザーの協力に「大捜索隊とも言うべきたくさんのご厚意に心からの感謝を申し上げます」とコメントしていた。

そして10月9日…。

見つかりました！！！！見つかりました！！！！見つけてくださいました！
DMで写真送っていただき、間違いありません！ ああ、なんという！

送っていただいた写真です！ チェーンも含め、間違いありません。 『通りすぎて「ん？」と思って Twitter確認して間違いないと思って 雨でぬれているのであずかっています』 と…。

ペンダントは、飼い主さんが通ったという道の手すりにかかっていたそうで、それを見つけたXユーザーが雨に濡れないように預かっていたのだという。

その後、ペンダントは無事に飼い主さんの元に！

実は「ペンダントを預かり、飼い主さんに手渡した」ユーザーの他にも「落ちていたペンダントを見つけて、道の端に寄せた人」「道の端に寄せてあったペンダントを見つけて、近くの手すりにかけた人」の2人の協力があったことも、寄せられたメッセージから判明した。

さらに、驚きの展開は他にもあった。投稿を見たハンドメイド作家のXユーザー3人が、けやきちゃんの写真を使ったストラップやキーホルダーなどの“新・けやきちゃんグッズ”を飼い主さんにプレゼントしたのだ。飼い主さんが「けやきってば、たくさんの分身を連れて帰ってきました」と喜びを語ることになった。

飼い主「感動と感謝の気持ちでいっぱい」

多くの人が見守った、宝物のペンダントをめぐる一連のストーリー。発見の報告には「けやきちゃん無事に飼い主様と再会できてよかったね」「色々な奇跡と優しさに包まれて戻って来て本当に良かったです」などのコメントが寄せられ、「無事に受け取った」という報告の投稿には8万件をこえる「いいね」がついている（10月25日現在）。

SNSの力が結集して嬉しい結末を迎えたが、ペンダントが無事に戻った今、思いがけず生まれた人のつながりに何を思う？飼い主さんと、新たな「けやきちゃんの分身」を作った3人にもお話を聞いてみた。

まずは、けやきちゃんの飼い主さんから。


――ペンダントを無くしてしまったことに気付いた時は…

気づいた時は青ざめました。落とさないようあんなに気をつけていたのに。すぐにルミネエスト（新宿）の店舗に問い合わせましたが見つからず、忘れ物センターにも届いていないとのこと。途方に暮れながら、そうだTwitter(X)で呼びかけてみよう…と。諦めよりも、きっと見つかるという気持ちの方が大きかったです。

――見つかったという知らせを受けた時、どう思った？

え～っ！と思わず声が出ました^^;
きっと見つかると思っていたにもかかわらず、4日経って諦めの気持ちも生じていたので、まさかという信じられない思いで心臓もバクバクでした。
（連絡をくれた人とは）DMで連絡を取り合い、幸い近くだったので数時間後に直接お会いして手渡していただきました。

と同時に、新宿ではなく地元駅近くだったので、新宿で探してくださった方たちに申し訳ないという気持ちが。「今ルミネエストにいます。どのあたりを歩かれましたか？ 探してみます！」というDMなどもいただいていたので。


――ペンダントが戻ってくるまでに、3人の“リレー”があったほか、新たにけやきちゃんグッズを作った人もいました。この繋がりについて…

見ず知らずの他人のためにこんなことをしてくださるなんて…と感動と感謝の気持ちでいっぱいになりました。みなさん本当に優しい。

新しいペンダントは「身につけています」

――今回の物語の中心にいたワンちゃん。けやきちゃんはどんな子だったの？

けやきは元の飼い主が動物愛護センターに持ち込んだ子で、たまたま訪れた保護団体の方に引き出され殺処分を免れました。ご飯も与えられておらず、写真を見るとガリガリでしたが、うちに迎えた時はちょっとやせっぽちの子犬という印象でした（実際は母犬でしたけど）。

けやきはその当時の飢餓のトラウマか、とても食いしん坊で拾い食いの癖が抜けず、カエルを飲み込んで胃洗浄したり、ザリガニ釣りの糸を飲み込んで内視鏡で取り出したりと、獣医さんにはお世話になりました。

でも酷い目に遭ったにもかかわらず人間大好きで、誰にでもすり寄っていってオヤツをもらったりと、たくさんの人にかわいがってもらいました。

チャームポイントは首を傾げて見上げるウルウル瞳。まさに“じじばばキラー”でした。食べ物にしか興味がなく、オモチャには見向きもしない子でした。そして雷が大嫌い。とても寒がりで冬はコートが必須でした。

一度、高速道路で事故に遭い、私は足と肋骨を折りましたが、後部座席にいたけやきは奇跡的に無傷という、強運の子でもありました。


――ペンダントが無事戻ったことを、けやきちゃんには報告した？

けやきには逐一報告していました。「早く帰っておいで」とも。

――戻ってきたペンダントと、新しいけやきちゃんグッズは今どうしている？

戻ってきたペンダントは、今お骨のカバーに掛けています。いただいたストラップはキーホルダーとバッグに、ペンダントや指輪は外出時に身につけています。もう二度と落としません^^;

3人の“作家”「何て素敵な出来事だろう」

最後に、新たなけやきちゃんグッズを作ったkaorimarron（@kaorimarron）さん、syk（@N_sa1986）さん、REMME（@remme_lt）さんにも、それぞれお話を聞いた。


――今回、新しいけやきちゃんグッズをプレゼントしようと思った理由、そして無事見つかったペンダントをめぐる繋がりについて…

kaorimarronさん：
持ち主さんが必死で探している様子に力になりたいと思いました。レジンのペンダントは以前趣味で作ったことがあったので、代わりの物を作ってプレゼントしようと思い付きました。

私を含め、3人がけやきちゃんグッズを作ってプレゼントしていた。何て素敵な出来事だろうと思いました。また、一緒になって喜んで下さる皆さんのコメントにも心が温かくなりました。

sykさん：
同じ物は作れなくても、私の作品で飼い主様の気持ちが少しでも穏やかになってもらえたらなぁ…と思ったのと､ 私自身も犬を飼っていますし､犬が亡くなって悲しい気持ちも凄くわかります。「2度けやきちゃんを亡くしたようだ」と飼い主様の投稿内に書いてありまして… それを見て､作ろう！！と思い、お声掛けをいたしました。

ペンダントが無事に見つかったことは､正直すごく驚きました！SNSの力って凄いんだ！と思いました。同時に本当に本当に嬉しく思いました！新たなけやきちゃんグッズを贈られた方も私以外にもいると知って､それも嬉しかったです！

飼い主様には… 元祖けやきちゃんペンダントと同様に､私の作成したけやきちゃんキーホルダー2つも大切にしてもらえたらいいなぁと思っています。

REMMEさん：
「REMME」では、どこか懐かしくて、優しい気持ちになれるような作品を作っています。愛するわんちゃん・猫ちゃんのオリジナルアイテムも制作しています。思い入れのあるもの、特に愛するペットのお写真が入ったものを無くすと、その子まで失ってしまったような感覚になるものです。失った悲しみは、けやきちゃんが亡くなった時でもう充分です。少しでも飼い主さまの悲しみを和らげたいと思い、ペンダントを作らせていただきました。

悲しいニュースが溢れていますが、みんなの優しさに触れられて心があたたかくなりました。憎しみも連鎖しますが、優しさも連鎖します。自分にとって小さな優しさだとしても、それが広がっていって暖かい空間がいろんな所で生まれたらいいなと思っています。

亡き愛犬のペンダントから広がった、優しさの連鎖。けやきちゃんにもきっと届いたことだろう。

プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。