近年、さまざまな地域でイベントが開催されるなど、“キッチンカーグルメ”が注目を集めている。
東京・国営昭和記念公園では10月7〜8日に、100台以上のキッチンカーが集結する全国最大規模のイベント「キッチンカーグルメ選手権2023」が開催される予定だ。
今まさに“キッチンカーグルメ”に熱い視線が注がれている。

想像よりも“ナナメ上”に変化を遂げたものに注目する「ナナメ上調査団」では今回、そんな「キッチンカー」に注目。
「消防車キッチンカー」「ピカピカ光るキッチンカー」「珍しい料理が楽しめるキッチンカー」まで、ナナメ上なキッチンカーを取材した。
まずは、個性豊かな絶品キッチンカーグルメから。
絶品キッチンカーグルメ3選
ネオンの看板が目印のパフェ専門店「夜ふかしアイス」。
愛知県内を中心に“夜メイン”で出店しているという。

10種類以上のラインアップで、特に人気なのが「和栗モンブラン」だ。

シリアルとソフトクリームの上には存在感たっぷりのマロンペーストがのり、渋皮ごと刻んだ栗をそのまま使用し、栗の食感と風味がアクセントになる一品だ。
そして、札幌市内で営業する「ASOMBROSO(アソンブロッソ)」は連日行列が絶えない、超人気キッチンカー。

客の目当ては、1日で最高40万円以上の売上を記録したことがあるという「ハンドカットフライズ」。

地元農家から仕入れたジャガイモをハーブと一緒にこだわりの油で揚げることで、香りよく、中はホクホク、外はカリッと仕上げ、食べる手が止まらなくなってしまう“至極のフライドポテト”となっている。
さらに、愛知・岐阜・三重の3県で営業する「石窯PIZZA屋台boccheno(ボッケーノ)」はその名の通り、本格的な石窯を積んだキッチンカー。

一番人気は「マルゲリータ」。
約350℃で焼き上げた本格ピザは、一度食べたら病みつきになること間違いなしだ。

そんな、こだわりがキラリと光るキッチンカーがある中、そのこだわり方がナナメ上なキッチンカーもある。
目立ちすぎるキッチンカー
愛知県岡崎市のから揚げ専門店「暴れん坊チキン」。
日本で一番うまいからあげを決める「からあげグランプリ」で最高金賞や金賞を8回も獲得している。

極上のからあげを食べに、わざわざ県外からも多くの人が訪れる人気店なのだが、この店の「出張営業用のキッチンカー」が“目立ちすぎる”というのだ。
早速、調査を開始すると、店主の射り口和八(いりぐちかずや)さんがすてきな笑顔で迎えてくれた。

射り口さんにお店の裏の駐車場に案内してもらうと、そこにあったのは消防車。
射り口さんは「これは消防車です。消防車の払い下げをオークションで買いました」と話す。

これは、本物の消防車を改造したキッチンカーのようで、もちろん赤色灯やサイレンは鳴らせないが、消防署の名前が入っていたとおぼしきところには、「唐揚移動販売車両」の文字があった。

今からイベントがあり、このキッチンカーで行くというので、消防車キッチンカーに調査員も乗せてもらうことに。
それにしても、かなり目立つが射り口さんは「買ったはいいけど、逆に目立っちゃって超恥ずかしいんですけど」と言いつつ、窓の外に向かって手を振るほど上機嫌だった。
イベント会場に到着し、車を開けると横の扉が上がっていき、カウンターが出現する。
さらに、その隣の扉を開くとホースが登場。

もちろん、目立たせるためだけの見せかけホースだが、効果はてきめん。
約50台のキッチンカーが集まるこの会場でひときわ輝きを放っていた。
今や、大切な相棒となった消防車キッチンカーだが、なぜ消防車だったのか。
「昔の夢が消防士だったんです」
高校卒業後、消防士を目指していたという射り口さん。
その後、飲食の世界に入り、キッチンカーでの販売を始めたという。
それでも「消防車を運転したい」という夢が諦めきれず「そうだ、消防車をキッチンカーにしよう!」と発案し、2年前に購入したというのだ。
しかし、問題もあるようで、「気づいたことは、消防車は消防車だった。調理する施設が意外に狭い」と明かす。
中をのぞいてみると、からあげを揚げるスペースが3つあるが、車の大きさの割に、自由に動ける人数は2人ほど。
イベント時に持って行く荷物を積むと、足の踏み場がなくなってしまうという。

それでも「男のロマンじゃないすか?夢が半分かなったと言っても過言じゃないですね!」と笑って話す射り口さん。
消防車キッチンカーは“男のロマン”がつまったキッチンカーだった。
そんな“目立ちすぎるキッチンカー”は千葉県木更津市にもあった。
ピカピカ光るキッチンカー
その目立ちすぎるキッチンカーに近づいてみると、そこにあったのは見た目が“デコトラ”のようなキッチンカー。

オーナーの植木康博さんは「目立ってなんぼだと思います。ビッカビカに電飾つきます。(光り方は)350パターン内蔵されていて、LEDが時間の経過とともにいろんな色に変わっていきます。それが一番のこだわりです」と話す。

この電飾でバッチリ目立ち、売り上げアップを狙ったというが、「ビカビカにしても(売り上げは)変わらないです。写真撮ってそのままどっか行かれてしまうのは多々あるので、そこは実力勝負だと思います」と、目立って売り上げアップ!とはいかなかったという。
そんなピカピカキッチンカーの人気メニューは約30センチの超ロングポテトと、しょうゆの効いた煮汁が染みた豚の三枚肉と温泉卵の相性が抜群のチャーシュー丼。

調査員が実際に食べてみると「ポテトはホクホクしていますね。長いので食べ応えがあります。チャーシュー丼はチャーシューの味がしっかりついているのでご飯が進みます」とのこと。
実は植木さん、約20年前から千葉県館山市で居酒屋を経営。
しかし、「どんどん(館山市)の人口が少なくなっていく中で、いつお客様が来てくださるか分からない状態。待っている状態で営業していくのは限界がある」と、経営難になった居酒屋を続けていくために「何かド派手なことを!」と思い一念発起。
8年前に、デコトラキッチンカーを始めたという。
デコトラキッチンカーの総額は車体込みで、約800万円もかかったといい、「どれだけ商品を売ってもなかなか回収できないくらいイタズラしちゃったんで」と笑う植木さんだった。
続いては、珍しい料理が楽しめるキッチンカー。
本格アフリカ料理のキッチンカー
東横線・元住吉駅周辺で出店している「FOFO(フォフォ)」。

珍しい料理とは一体どういうものなのか。
調査員が注文してみると、店主のエミールさんが出してくれたのは「スンバラライス」。
確かに聞いたことがない料理名だ。

実は、エミールさんの出身地、アフリカ西部に位置する「ブルキナファソ」という国の料理。
アフリカのお米に、故郷ブルキナファソから取り寄せた「スンバラ」という豆を発酵させたものを混ぜ、その上にグリルした鶏肉、ニンジン、セロリなどの野菜を盛り付けた一皿となっている。
気になるそのお味は、「うん!おいしいです」と調査員。
味は、とっても本格派。それもそのはず、実はシェフのエミールさん、ものすごい経歴の持ち主だった。

26歳の頃に、同じアフリカ西部のコートジボワールのホテルに料理人として勤務。
ある日、コートジボワールの大統領のパーティーの料理を担当したところ、とても気に入られて、大統領の専属料理人に指名され、約8年間勤め上げたという。
その後、来日したエミールさんはギニア大使館などで料理の腕をふるい、10年前にキッチンカーを始めた。
「多分日本人はアフリカの食べ物は食べられない。辛いだけとか味がどんな感じか分からないから、それを教えたい」

「アフリカの味を日本で」そこには、母国への思いがあった。
さまざまな進化を遂げている“ナナメ上”なキッチンカー、みなさんもお気に入りのキッチンカーを見つけてみるのはいかかでしょうか。
(「ノンストップ!」『ナナメ上調査団』より 2023年9月12日放送)