何かと忙しい年末年始に重宝するグルメの一つが「レトルトカレー」。
オーソドックスな定番だけでなく、実は今、その土地ならではの味、地元の名店の味などを手軽に食べられる“ご当地レトルトカレー”も続々と登場している。
特定のカルチャーをより深く味わう「沼から来た。」では今回、「レトルトカレー」の沼にハマった専門家が、底知れない魅力を紹介する。
“フランス料理とマリアージュ”した絶品フレンチカレーや、合わせるのは“ライスではなく麺”の“スリランカカレー”も登場。
さらに、達人直伝のレトルトカレーをよりおいしく食べられるテクニックも紹介していく。
あなたも“レトルトカレー沼”にハマってみては。
約1万食の味を知るマニアが解説
オススメを紹介してくれる“レトルトカレー沼の住人”は、カレー総合研究所所長・井上岳久さん。
全国にあるカレーの店など9000軒以上を制覇し、レトルトカレーは約1万種類以上の味を知る。
![カレー総合研究所所長・井上岳久さん](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/2/9/700mw/img_295260b1a2f70c2b86fb27d5ee31a19c177821.jpg)
昔は独特の“レトルト臭”があったが今は改良され、いろいろな種類のカレーを作ることができるようになり、おいしく進化しているという「レトルトカレー」。
「ご当地食材や地域性の発信ツールとして、全国で飛躍的に数が増えており、毎日新発見のカレーを楽しんでいます」という井上さんのレトルトカレーを紹介していく。
![ご当地レトルトカレー](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/c/c/700mw/img_ccaa85bae1b9442e59a9778cc1520856598177.jpg)
北海道の「スープカレー」や石川県の「金沢カレー」など、王道のカレーから珍しいカレーまでを挙げてくれたがが、実はカレーは主に3種類に分けられるという。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/b/700mw/img_8b2f8f12e5066e7f9e665dabf83bc7da311627.jpg)
・欧風カレー系…粉やルウを使った王道カレー
・インドカレー系…キーマカレー・スパイスカレーなど
・進化形カレー系…スープカレー・和風カレーなど
「『欧風カレー』はヨーロッパで生まれた、カレー粉やルウなどを使い、洋風のだしで作る、みなさんが慣れ親しんでいるカレー。
『インドカレー』はキーマカレーや、小麦粉を使わずスパイスで作るスパイスカレーなど。さらにスープカレーや和風など「進化形」があります」
大阪「あまからカレー」
次は“レトルトカレーマニア”の井上さんがオススメする、5つのレトルトカレーをピックアップ。
![S&B「噂の名店 大阪あまからビーフカレー 鮮烈な辛口 394円※ECサイトより](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/f/6/700mw/img_f616a04da40df42b10584c8bdf711570480435.jpg)
一口食べると甘くて、その後に辛みがくる大阪「あまからカレー」。大阪では定番で人気なのだという。
エスビーのレトルトは、“あまから”の代表格の店「白銀亭(はくぎんてい)」が監修しており、大阪で定番のカレーの味を再現している。
![噂の名店大阪あまからビーフカレー鮮烈な辛口](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/b/c/700mw/img_bc568d39287d4427546675e670d667bb439821.jpg)
「大阪は“あまから”文化みたいのがあって、『インデアンカレー』という有名なお店に弟子入りした方が独立したり、インスパイアーされて同じような味を作ったりしているので、大阪では“あまから”カレーが多いです」
ちなみにこのカレーを食べる時に「飲んで欲しい!」と、井上さんオススメするのは「炭酸水」。
「カレーに合わせるのは水が一番ですが、最近はよりスッキリする『炭酸水』にハマっています。炭酸水だとカレーを食べた後のキレがよく、後味がスッキリするのでオススメです」
大阪「スパイスカレー」
“カレーマニア”の井上さんがオススメする2つ目のレトルトカレーも大阪。
大阪「スパイスカレー」だ。
![ハウス「旧ヤム邸」監修 選ばれし人気店 牛豚キーマカレー 389円※参考小売価格](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/5/700mw/img_0545a7ef29b398134ae41b4da2c8210c495337.jpg)
「欧風カレー」が人気な大阪だが、実は全国的にブームの“スパイスカレー”の発信地でもあり、スパイスカレーの名店が多いという。
中でも井上さんオススメなのが「牛豚キーマカレー」。
![選ばれし人気店 牛豚キーマカレー](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/5/700mw/img_15e70d477fda949ecebb94e644357eb7486744.jpg)
「カルダモンの香りが存分に味わえ、ブナシメジやゴボウなどが入った独創的なスパイスカレー。牛と豚両方のひき肉が入っており、両方のコクや旨みを引き出しています」
ちなみにカレーに入れるお肉は、明確な線引きをするのは難しいが、使われるお肉にも地域差があるという。
![※井上さん監修](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/8/700mw/img_88532ae0b6ef815a658f6651dcc36a71276618.jpg)
「カレーの肉は、東日本では『豚肉』、西日本では『牛肉』が定番とされています。九州では養鶏場が多いので『鶏肉』が多い傾向で、鳥取県も鶏肉の需要が高いですね」
神奈川「フレンチカレー」
“カレーマニア”の井上さんがオススメする3つ目のレトルトカレーは、神奈川「フレンチカレー」。
![横浜元町 仏蘭西料亭「霧笛楼フレンチカレー」昆布だし×ジャガイモポタージュ 972円](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/1/e/700mw/img_1e1d88449f7fedfafab6fabeb82de270483574.jpg)
「フレンチカレー」とは、フランス料理のソースの技法で作るオリジナルカレー。
「昆布だしのカレーとジャガイモのポタージュという2種類のルーが入っています。それぞれ食べてもおいしいですが、“あいがけ”すると、和と洋、それぞれの味やマリアージュも楽しめます」
![霧笛楼フレンチカレー](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/a/3/700mw/img_a3bac8d50a920dcc0589d5f516e9a3a9380677.jpg)
横浜は多国籍の街のため、外国人向けの料理店が多い。
働く外国人も多く、ランチ用にカジュアルフレンチの店が増え、手軽に食べられるカレーを提供するようになり「フレンチカレー」の人気が広がったと言われている。
「カレーは普通、最初から最後まで基本同じ味だが、それだと飽きることも。これは2つを合わせることで味の変化を楽しむことができます」
山形「大人の甘口遊佐カレー」
4つ目のオススメは山形の「大人の甘口遊佐カレー」。
![遊佐カレー レトルト・パプリカ 700円](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/6/f/700mw/img_6f610be2e4870a014cfebef10dad3fa5427583.jpg)
山形県遊佐町(ゆざまち)から誕生した「遊佐カレー」。
子ども向けの甘口を大人でも楽しめるように、辛みなどが融合した味わいに仕上げ、「大人の甘口」としている。
具材がないように見えるが、具材が溶けるほど煮込んでおり、遊佐町の特産品「パプリカ」がたっぷりカレーに入っているという。
![遊佐カレー レトルト・パプリカ](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/e/700mw/img_7e0ad3cb8296540d3d24fde3e508196b390135.jpg)
「調査してみると山形だけでなく、東北の方は『甘口』派が多い。山形県の人は外食でカレーを食べようという人が少ない。おうちカレーが主流で、中でも甘口の代表格『バーモントカレー』が人気で、甘口派が多いのはその影響と言われています」
福岡「スリランカカレー」
5つ目のオススメが福岡の「スリランカカレー」。
「スリランカカレー」とは辛さがとても強く、とろみがない、さらっとした口当たりのカレーのこと。
![ツナパハのヌードルカリー完全再現セット 2530円](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/7/700mw/img_474dbfb7a432d11c4e73b899447192c2530888.jpg)
ライスなどを真ん中に、囲うように数種類のカレーを盛って混ぜて食べるのが特徴。
「ツナパハのヌードルカリー完全再現セット」はすべて手作業で作るため、週に120食が限界で、売り切れ必死の人気のカレーだという。
![ツナパハのヌードルカリー完全再現セット](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/c/700mw/img_5c1690f1ae486c1948a42f24cdd19a04596418.jpg)
スリランカではカレーを注文すると「観光客用にします?現地用にします?」と聞かれるほど辛いそう。
「ツナパハ」のカレーはスリランカのシェフが作っているが、日本人に合うように、福岡風スリランカカレーとしてアレンジされているという。
「私はカレーを食べる時、ビーフンで食べることが多いです。ご飯だとそんなに量が食べられないけど、ビーフンだとサラサラと食べられます。スリランカでもカレーをビーフンで食べる料理がいっぱいあり、オススメですよ」
ここまでたくさんのレトルトカレーを紹介してきたが、最後は「レトルトカレーをよりおいしく食べるワザ」を紹介していく。
レトルトカレーの調理テク
井上さんいわく、レトルトカレーをおいしく食べるための大切なポイントは3つ。
・温め方
・温めた袋をかける前によくふる
・お好みの具材をトッピング
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/b/a/700mw/img_ba8b645de3f17766e671211c5964bc00409504.jpg)
パッケージに書いてある推奨方法で温めるのが基本だというが、井上さんのオススメは「湯せん」。
「湯せんか、電子レンジかはもちろんお好みですが、湯せんの方が均一に温められるので、私は湯せん派です」
そして温めた後にも重要なポイントがある。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/0/c/700mw/img_0c0641646f1e718ea6f48b4b43e7c75e487461.jpg)
「温めてからすぐにライスにかけるのではなく、袋の端をもってよく振るのがポイントです。保存している間に油などが分離しているレトルトがあるので、よく振って混ぜることで、本来の味わいを引き出せます」
また、食べる時の一手間でよりおいしく食べることができるという。
![](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/2/c/700mw/img_2c0c09cb67dc1c31d01d829c61abb45e541883.jpg)
「レトルトは家やお店のカレーと比べると、どうしても具材が少なめなので、お好みの具材を追加でトッピングがオススメです。炒めた野菜や肉、フライドオニオンなどが彩どりや食べ応え、食感なども楽しめます。
またレトルトカレーに入っているスパイスだけでなく、さらに追いスパイスするのもオススメで、よりカレーらしさを堪能できると思います」
まだまだ底が知れない“レトルトカレー沼”。
今後もどんな新しいレトルトカレーが出てくるのか、目が離せない。
(ノンストップ!『沼から来た。』より 2023年12月20日放送)