何かと忙しい年末年始に重宝するグルメの一つが「レトルトカレー」。

オーソドックスな定番だけでなく、実は今、その土地ならではの味、地元の名店の味などを手軽に食べられる“ご当地レトルトカレー”も続々と登場している。

特定のカルチャーをより深く味わう「沼から来た。」では今回、「レトルトカレー」の沼にハマった専門家が、底知れない魅力を紹介する。

“フランス料理とマリアージュ”した絶品フレンチカレーや、合わせるのは“ライスではなく麺”の“スリランカカレー”も登場。

さらに、達人直伝のレトルトカレーをよりおいしく食べられるテクニックも紹介していく。

あなたも“レトルトカレー沼”にハマってみては。

約1万食の味を知るマニアが解説

オススメを紹介してくれる“レトルトカレー沼の住人”は、カレー総合研究所所長・井上岳久さん。

全国にあるカレーの店など9000軒以上を制覇し、レトルトカレーは約1万種類以上の味を知る。

カレー総合研究所所長・井上岳久さん
カレー総合研究所所長・井上岳久さん
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昔は独特の“レトルト臭”があったが今は改良され、いろいろな種類のカレーを作ることができるようになり、おいしく進化しているという「レトルトカレー」。

「ご当地食材や地域性の発信ツールとして、全国で飛躍的に数が増えており、毎日新発見のカレーを楽しんでいます」という井上さんのレトルトカレーを紹介していく。

ご当地レトルトカレー
ご当地レトルトカレー

北海道の「スープカレー」や石川県の「金沢カレー」など、王道のカレーから珍しいカレーまでを挙げてくれたがが、実はカレーは主に3種類に分けられるという。

欧風カレー系…粉やルウを使った王道カレー  
インドカレー系…キーマカレー・スパイスカレーなど
進化形カレー系…スープカレー・和風カレーなど

「『欧風カレー』はヨーロッパで生まれた、カレー粉やルウなどを使い、洋風のだしで作る、みなさんが慣れ親しんでいるカレー。

『インドカレー』はキーマカレーや、小麦粉を使わずスパイスで作るスパイスカレーなど。さらにスープカレーや和風など「進化形」があります」

大阪「あまからカレー」

次は“レトルトカレーマニア”の井上さんがオススメする、5つのレトルトカレーをピックアップ。

S&B「噂の名店 大阪あまからビーフカレー 鮮烈な辛口 394円※ECサイトより
S&B「噂の名店 大阪あまからビーフカレー 鮮烈な辛口 394円※ECサイトより

一口食べると甘くて、その後に辛みがくる大阪「あまからカレー」。大阪では定番で人気なのだという。

エスビーのレトルトは、“あまから”の代表格の店「白銀亭(はくぎんてい)」が監修しており、大阪で定番のカレーの味を再現している。

噂の名店大阪あまからビーフカレー鮮烈な辛口
噂の名店大阪あまからビーフカレー鮮烈な辛口

「大阪は“あまから”文化みたいのがあって、『インデアンカレー』という有名なお店に弟子入りした方が独立したり、インスパイアーされて同じような味を作ったりしているので、大阪では“あまから”カレーが多いです」

ちなみにこのカレーを食べる時に「飲んで欲しい!」と、井上さんオススメするのは「炭酸水」。

「カレーに合わせるのは水が一番ですが、最近はよりスッキリする『炭酸水』にハマっています。炭酸水だとカレーを食べた後のキレがよく、後味がスッキリするのでオススメです」

大阪「スパイスカレー」

“カレーマニア”の井上さんがオススメする2つ目のレトルトカレーも大阪。

大阪「スパイスカレー」だ。

ハウス「旧ヤム邸」監修 選ばれし人気店 牛豚キーマカレー 389円※参考小売価格
ハウス「旧ヤム邸」監修 選ばれし人気店 牛豚キーマカレー 389円※参考小売価格

「欧風カレー」が人気な大阪だが、実は全国的にブームの“スパイスカレー”の発信地でもあり、スパイスカレーの名店が多いという。

中でも井上さんオススメなのが「牛豚キーマカレー」。

選ばれし人気店 牛豚キーマカレー
選ばれし人気店 牛豚キーマカレー

「カルダモンの香りが存分に味わえ、ブナシメジやゴボウなどが入った独創的なスパイスカレー。牛と豚両方のひき肉が入っており、両方のコクや旨みを引き出しています」

ちなみにカレーに入れるお肉は、明確な線引きをするのは難しいが、使われるお肉にも地域差があるという。

※井上さん監修
※井上さん監修

「カレーの肉は、東日本では『豚肉』、西日本では『牛肉』が定番とされています。九州では養鶏場が多いので『鶏肉』が多い傾向で、鳥取県も鶏肉の需要が高いですね」

神奈川「フレンチカレー」

“カレーマニア”の井上さんがオススメする3つ目のレトルトカレーは、神奈川「フレンチカレー」。

横浜元町 仏蘭西料亭「霧笛楼フレンチカレー」昆布だし×ジャガイモポタージュ 972円
横浜元町 仏蘭西料亭「霧笛楼フレンチカレー」昆布だし×ジャガイモポタージュ 972円

「フレンチカレー」とは、フランス料理のソースの技法で作るオリジナルカレー。

「昆布だしのカレーとジャガイモのポタージュという2種類のルーが入っています。それぞれ食べてもおいしいですが、“あいがけ”すると、和と洋、それぞれの味やマリアージュも楽しめます」

霧笛楼フレンチカレー
霧笛楼フレンチカレー

横浜は多国籍の街のため、外国人向けの料理店が多い。

働く外国人も多く、ランチ用にカジュアルフレンチの店が増え、手軽に食べられるカレーを提供するようになり「フレンチカレー」の人気が広がったと言われている。

「カレーは普通、最初から最後まで基本同じ味だが、それだと飽きることも。これは2つを合わせることで味の変化を楽しむことができます」

山形「大人の甘口遊佐カレー」

4つ目のオススメは山形の「大人の甘口遊佐カレー」。

遊佐カレー レトルト・パプリカ 700円
遊佐カレー レトルト・パプリカ 700円

山形県遊佐町(ゆざまち)から誕生した「遊佐カレー」。

子ども向けの甘口を大人でも楽しめるように、辛みなどが融合した味わいに仕上げ、「大人の甘口」としている。

具材がないように見えるが、具材が溶けるほど煮込んでおり、遊佐町の特産品「パプリカ」がたっぷりカレーに入っているという。

遊佐カレー レトルト・パプリカ 
遊佐カレー レトルト・パプリカ 

「調査してみると山形だけでなく、東北の方は『甘口』派が多い。山形県の人は外食でカレーを食べようという人が少ない。おうちカレーが主流で、中でも甘口の代表格『バーモントカレー』が人気で、甘口派が多いのはその影響と言われています」

福岡「スリランカカレー」

5つ目のオススメが福岡の「スリランカカレー」。

「スリランカカレー」とは辛さがとても強く、とろみがない、さらっとした口当たりのカレーのこと。

ツナパハのヌードルカリー完全再現セット 2530円
ツナパハのヌードルカリー完全再現セット 2530円

ライスなどを真ん中に、囲うように数種類のカレーを盛って混ぜて食べるのが特徴。

「ツナパハのヌードルカリー完全再現セット」はすべて手作業で作るため、週に120食が限界で、売り切れ必死の人気のカレーだという。

ツナパハのヌードルカリー完全再現セット
ツナパハのヌードルカリー完全再現セット

スリランカではカレーを注文すると「観光客用にします?現地用にします?」と聞かれるほど辛いそう。

「ツナパハ」のカレーはスリランカのシェフが作っているが、日本人に合うように、福岡風スリランカカレーとしてアレンジされているという。

「私はカレーを食べる時、ビーフンで食べることが多いです。ご飯だとそんなに量が食べられないけど、ビーフンだとサラサラと食べられます。スリランカでもカレーをビーフンで食べる料理がいっぱいあり、オススメですよ」

ここまでたくさんのレトルトカレーを紹介してきたが、最後は「レトルトカレーをよりおいしく食べるワザ」を紹介していく。

レトルトカレーの調理テク

井上さんいわく、レトルトカレーをおいしく食べるための大切なポイントは3つ。

・温め方
・温めた袋をかける前によくふる
・お好みの具材をトッピング

パッケージに書いてある推奨方法で温めるのが基本だというが、井上さんのオススメは「湯せん」。

「湯せんか、電子レンジかはもちろんお好みですが、湯せんの方が均一に温められるので、私は湯せん派です」

そして温めた後にも重要なポイントがある。

「温めてからすぐにライスにかけるのではなく、袋の端をもってよく振るのがポイントです。保存している間に油などが分離しているレトルトがあるので、よく振って混ぜることで、本来の味わいを引き出せます」

また、食べる時の一手間でよりおいしく食べることができるという。

「レトルトは家やお店のカレーと比べると、どうしても具材が少なめなので、お好みの具材を追加でトッピングがオススメです。炒めた野菜や肉、フライドオニオンなどが彩どりや食べ応え、食感なども楽しめます。

またレトルトカレーに入っているスパイスだけでなく、さらに追いスパイスするのもオススメで、よりカレーらしさを堪能できると思います」

まだまだ底が知れない“レトルトカレー沼”。

今後もどんな新しいレトルトカレーが出てくるのか、目が離せない。

(ノンストップ!『沼から来た。』より 2023年12月20日放送)