年が明けると本格的に始まる受験シーズン。
「受験」となれば験担ぎ、だ。
その験担ぎの食べ物といえば、受験に“勝つ”ということで「カツ丼」が思い浮かぶ。
想像よりも“ナナメ上”に変化を遂げたものに注目する「ナナメ上調査団」では、そんな「カツ丼」に注目。
「提供スピードが速すぎるカツ丼」「調理時間が長すぎるカツ丼」、「トッピングがすごいカツ丼」、「食べるまでに時間がかかるカツ丼」など“ナナメ上”な「カツ丼」を取材した。
まずは、提供スピードにこだわるカツ丼。
出てくるまでが早すぎるカツ丼
大阪のオフィス街にある「味べい」。

どのくらい早いのか。
店長の杉部龍英さんに聞いてみると、「10秒以内で提供させてもらっています」と、驚きの答えがあった。
本当にそんなことが可能なのか。早速、注文してみるとなんと8秒で“着丼”した。

早いのはいいが、肝心のお味はどうなのだろうか。
「しっかりアツアツ。だしが甘めで食べやすいです」(調査員)

なぜこんなに早く提供しているのか。
店長の杉部さんは、「サラリーマンのお客さんが多いんです。できるだけ早く食べていただき、自分の好きなことに時間を使っていただきたい」と話す。
早すぎるカツ丼の気になる作り方は、注文が入ると、まず一人が丼にご飯を盛ると同時に、もう一人が、常時揚げられているカツをカットし、ご飯の上へ。
仕上げに、火にかけていた半熟状態の卵と和風だしを上から掛けて完成する。
煮込まないタイプのカツ丼を2人がかりで素早く仕上げているのだ。

オフィスワーカーが殺到するお昼には、200杯以上出ることも。
ちなみに、ここのカツ丼を食べると「早く勉強も覚えられるようになって、受験に有利に働くと思います」とのこと。
気になる受験生はぜひ食べに行ってみてはいかかでしょうか。
一方、調理に時間をかけすぎるカツ丼も。
調理時間10時間のカツ丼
北九州市にある「居酒家 春夏冬(いざかや あきない)」。

このお店の調理時間を店長の浦崎憲治さんに聞いてみると「一杯のカツ丼を作るのに10時間以上かかります」とのこと。
浦崎さんは「日本一分厚いカツ丼。今のところ、あれを超すのはSNSでも見たことはないですね」と語る。

店長も自信を持つ“日本一分厚い”カツ丼の厚さは、約9センチ。
重さ700グラム以上の特大カツが乗った「丼かつ」だ。
ご飯の上に、和風だしを効かせた半熟タマゴ、その上にロースカツを乗せた“とじない”タイプのカツ丼。
店長の浦崎さんは、「ただデカいだけではなく、肉の柔らかさを追求して、じっくりと低温で調理するというので僕がたどり着いたのが10時間」と話す。

その調理法は密閉した耐熱袋に入れた豚肩ロースを、水を張った鍋に投入。
ひたすら熱を加えていくのだが、ここで大事なのが「温度管理」だ。
3段階にわけて、温度と時間を調整。具体的な数字は企業秘密だが、3段階にわけて調整することで、肉質は柔らかくジューシーに、脂の甘みも凝縮するのだという。

前日予約が基本で、多い時は週に20杯の注文が入るときもあるのだそう。
メニュー名「丼かつ」には“どんなものにも勝つ”という意味が込められており、ゲン担ぎにもってこいのカツ丼だ。
続いては、トッピングがスゴいカツ丼。
生クリーム&ソフトクリームが乗っているカツ丼
福井県・小浜市にあるトンカツがメインのファミリーレストラン「やまと庵」。

1番人気は、福井名物の「熟成ソースかつ丼」。
薄めのカツをウスターソースに浸した福井県民のソウルフードだ。

そんなレストランのスゴイカツ丼というのは、トッピング。
社長の小泉伊久治さん自ら考案したといい、「みんなでシェアしていただくことで、楽しい団らんが生まれるかなと思います。愛がいっぱいな」と話す。
早速、「愛がいっぱい」なカツ丼を注文すると出てきたのは、ソース味のカツの周りに大量の生クリームと、その上にそびえ立つソフトクリーム。

これはカツ丼なのか、デザートなのか。
どちらとも言えないが、考案したきっかけは社長の小泉さんの「私どもの『醤油かつ丼』というメニューの大根おろしの白がアイスクリームに見えて、『じゃあカツ乗せてアイスクリームを上に乗せよう』と単純に」と、単に白つながりという、思いつきだった。
しかし、意外にもトンカツの塩味とソフトクリームの甘みが絶妙にマッチする。
週に1~2食は出るといい、特に男性客から人気があるのだという。
ちなみに「愛はカツ丼」という名前の由来は、KANさんの代表曲『愛は勝つ』。

アイスクリームの「アイ」とカツ丼の「カツ」からとり、「愛は勝つ丼」になったという。
受験生の背中を押してくれること、間違いなしのカツ丼だ。
続いては、リアルに食べるまでに時間がかかるカツ丼。
取調室で食べられるカツ丼
福島県・猪苗代町の温泉街にある旅館「磐梯西村屋(ばんだい にしむらや)」。

調査員がカツ丼を事前に予約し、ロビーで一息ついていると、「いたぞ!おまえを逮捕する!」と、突然声を掛けられる。

「え?え?どういうことですか?カツ丼食べにきただけですけど…」(調査員)

ただカツ丼を食べにきただけなのに、なぜか、サスペンスドラマのような展開になっているが、これは全て予定通りの展開。
客が犯人役となり、刑事役のスタッフから取り調べを受け、犯行を自供すると、ようやくカツ丼が食べられるという体験企画なのだ。

ここ数年、客足が遠のいている温泉街を活気づけようと、約5年前から始まった町おこしの一環で、刑事役はこの企画にカツ丼を提供している「小西食堂」の“勝手に営業部長”西村和貴さん。
体験希望者は事前予約し、当日、スタッフと逮捕容疑やストーリーを打ち合わせる。
旅館に着いたところから、寸劇が始まるという。

ちなみに「ハードタイプ」「ソフトタイプ」「談話タイプ」の3つのタイプがあるのだが、調査員はハードタイプをチョイス。
その後、旅館案内所に連行された調査員。
約8分間の取り調べが行われ、刑事が逮捕状を読み上げる。

そして、調査員が自供すると、開始から約1時間、やっとカツ丼が登場した。

「うまいっす…。心にしみます」(調査員)
すぐ自供すれば早く食べることもできるが、この非日常的なシチュエーションを楽しむなら、これくらいの時間がベストだという。
実は刑事役の西村さん、学生時代は演劇部に所属。「お客さまに喜んでもらえるように」と、役になりきるために、刑事ドラマのセリフを参考にしながら勉強を重ねたという。
究極のシチュエーションで食べられるカツ丼。
気になった方はぜひ、足を運んでみてはいかか。
(ノンストップ!『ナナメ上調査団』より 2023年12月19日放送)