大相撲名古屋場所で初優勝を飾った関脇・豊昇龍が優勝から一夜明けた24日、名古屋市内で会見し、「信じられなかったですよね」と笑顔で心境を話した。

大関昇進は、26日に開かれる秋場所の番付編成会議と臨時理事会を経て正式決定する。

―― 優勝して、こうして次の日の朝を迎えて、どんな気持ちですか?
関脇・豊昇龍:

まあそうっすね、普通にうれしいっすね 。

―― 夜は眠れましたか?
いや、そんな寝られてないです。

―― きのうは、たくさんお祝いが届いたと思いますけども...
そうですね、はい。

―― どのくらいメッセージとか?
メッセージですか。LINEで300以上来てたっすね。

―― 読むだけでも大変ですね。
はい。まだ返してない人もいるっすけどね。

―― みんなが喜んでくれている、そんな感じがしましたか?
やっぱそれくらい、みんな自分のこと応援してくれてるなと思って、うれしかったです。

―― 本当にすごいことをしましたね?
はい。

―― ずっと優勝するのを夢見てたと思いますけど、実際してみてどうですか?
やっぱ優勝した時はうれしかったですし、信じられなかったですよね、本当に優勝できちゃったかって。今でもまだ信じてないです。俺、本当に優勝してんのかって思うし、そういう気分です。

―― 今でも信じられないですか?
はい。

―― きのうの夜は、おいしいお酒がたくさん飲めましたか?
そんな飲んでないです。

―― 2桁勝利を2場所続けて、この名古屋場所に入って、振り返って、初日からどんな気持ちで...
本当に一日一番しっかり集中して取っていこうって、その気持ちでやってましたけど。

―― 大関昇進の目安として、12勝って数字もあったりしたんですけど?
自分は、あんまり気にしてなかったです。そういうのは気にしてなかったんで、しっかり一番一番しっかり集中して取っていけば行けるかなと思ってましたから。 

―― 行けるかなという気持ちが?
いや、一番一番取っていけばいいかなと思ってました。

―― 大関昇進をかけるプレッシャーみたいなものは?
まあ二桁勝ったときは、ちょっとプレッシャーあったっすね。まあ意外と自分で、自分の中でしっかり落ち着こうと思って、いろいろ考えあったっすけど、やっぱり一番がしっかり集中した方がいいって、そういう気持ちだったっすね。

―― 二桁の時は少し重圧が?
そうですね、少しちょっとかたくなりました。

―― 北勝富士戦に勝っていれば10勝だったんですよ...
そうですよね。

―― その相撲で敗れてしまった。
そうですね、それは正直かたくなったし、集中そんなにできてなかったし、今考えると、その時負けても、負けて逆によかったんじゃないかと思ってます。

―― 負けてよかったっていうのは?
やっぱり俺は、自分の体の動きとか集中が足りてなかったし、集中足りてなかったって、それでわかったし、逆によかったと思います。

―― それでわかって次の日の?
確かに、自分でしっかり考えて、あとがなかったじゃないですか、自分。しっかり勝ちとろうってその気持ちだったっすね。

―― 北勝富士関に敗れて3敗になりました。
そうっすね。  

―― 12勝に向けては?
まあ勝っても負けてもいいや、自分の相撲取ろうって思ってたんですけど。

―― 12勝っていうのも、頭の片隅にはあったんですか?
いやー正直、夜全然眠れなかったですよ、目つぶって、1時間、2時間ずっと全然眠れなくて、だいたい寝たのは12時前くらい。そういう12時過ぎで寝たのは。少し怖かったですね。

―― それは初日の方? 終盤の方ですか?
中日過ぎてからですね。

―― 毎日重圧とも闘っていらっしゃったんですね。
はい、大変でした。

―― 大関昇進と、優勝争いには、どのように自分の中で気持ちを高めていった?
まあ最後の方は優勝とかしたいという気持ちもあったっすけど、まだまだ先だと思ってたし、親方にも言われてたし、しっかり集中して勝ち取れって言われてたんで、しっかり、一日一番しか考えてなかったですね。

―― 千秋楽は、優勝3人に絞られた中で、いろいろとプレッシャーもあったのでは?
意外と大丈夫だったっすよ。

―― 初めてだったですよね?
初めてでした。いややったことないから、やりづらいし、わかんないじゃないですか。意外と自分、何も緊張してとか、かたくなってとか、意外となかったです。

―― 新入幕の力士と対戦する気持ちは?
意外と大丈夫だったですよ。

―― まったく初めてだったけど。
初めてだったですけど。

―― やりづらさは?
やったことないから、やりづらさとか、わからないじゃないですか。意外と自分、何も緊張したとか、固くなってるところとか意外となかったです。

―― 相手に力を見せた試合だった...
そのうち幕内上位に戦い来るんじゃないですか。

―― 自分も大関に上がる力士として負けられない気持ちが。
大関としてじゃなくて、普通に負けろって思って土俵上がる人いないじゃないですか。しっかり勝負の戦いの世界なので、しっかり勝ち取らなくちゃいけないし。絶対負けないって、その気持ちで上がりました。

―― 優勝決定戦まで行った時の気持ちは?
その時は、本当にここまで来たらやるしかないってその気持ちだったですよ。優勝決定戦の時は。意外と何も考えてないし、好きにやろうって、その気持ちでやりましたね。 

―― 本割の時に比べると、落ち着いた表情だったが...
そうですね。まったく緊張してるところとか、いろいろ考えている、ちょっと焦ったりとか。そういうところとか、まったくなかったですね。自分の中でも。逆にここまで来たんだから、やってやるぜって、その気持ちだけでしたね。

―― 12日目に敗れた相手だったが、嫌じゃなかった?
大丈夫でした、意外と。

―― 勝った瞬間、涙あふれたが、そのときの思いは?
僕が一番最初思ったのは、今まで相撲出てきて、その中でたくさんいろんなところケガしてきたし。いろんなところ痛めたところ、たくさんあったんで。俺、そういうところ痛めてなかったらもっと早くとか。そういう考えとかあったんだけど。いろいろいきなり、ぱっと出てきてしまって。

涙もすぐ上がってきたんですけど、泣いちゃだめ。泣かない泣かないって思ったんですけど。やっぱ我慢できなかったです。出ちゃったです。

―― つらい時が一番最初に思い浮かんだ?
うん。

―― 去年の九州場所で優勝争いした経験が生きた?
その経験が、今場所につながったと思いますよ。その経験なかったら、たぶん集中が途中で切れてるんじゃないかと思いますよ。

―― 九州場所の時の気持ちは?
最後の5日間。まだ体が自分のいうこときかない、それぐらいのこと起きてたっすね。やっぱ集中できてないし、自分もちょっと信じてないし。それより今場所は、意外と集中できて、落ち着いて自分のことをしっかり信じて相撲とったんで。逆にそっちの方がよかったと思います。

―― 去年から勝ちがずっと安定しているが?
確かにずっと勝ち越してますね。

―― 何がよくなってきて成績につながっている?
自分でちょっとわかんないですね。見てる方たちがわかると思うんですけど。自分じゃちょっとわかんないです。

―― 何か要因が?
稽古で、うちの関取衆とうちの若衆としっかりやってることは同じなんで。あとは本場所で見せること、ずっと思ってしてましたね。逆にそれでよかったかも。

―― やっぱり稽古?
そうです。稽古しなかったら強くなるわけないんで。やっぱ一番は稽古です。

―― 初優勝にたどり着いて、ここまでの道のりをどう振り返る?
とりあえず優勝して、すごくうれしいです。

今までいろんな人に応援してもらって、いろんな支えをしてくれて。たぶんそのおかげで自分は優勝して。優勝したと思いますけど。この先はしっかり、これよりもっと集中して、もっと稽古して、もっと強くなりたいですね。

―― 入門から33場所は、かなり早い記録だが?
33場所ですね。びっくりした。そんな33も取ったのかと思いました。

―― びっくりしたというのは?
33場所取って。自分知らなかったですよ。

―― 5年半は長かった?
いいんじゃないですか?

―― 事実上、大関昇進が決まっているが?
まだ大関って発表はしてないんで、なったらしっかり言います。

―― 昇進会見の言葉考えている?
してないです。このあと考えます。

―― 何か言いたいことある?
ないです、ないです。正直いいます、ありません。

―― 初優勝を果たしましたし、 大関昇進の運びにもなっていますし、あらためて今後への目標は?
やっぱり、この優勝したところで終わってるわけじゃないんで、まぁこの先、まだまだ番付に上があるんで、そこに向けて一生懸命稽古して、一生懸命自分信じて、上まで行きたいですね。

応援してくれてる人たちに、恩を返すように頑張りたいですね。

(写真: 時事)

報道スポーツ部
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