少子化の影響やデジタル化の進行で厳しい環境が続く文具市場。しかし、いま若い女性を中心に静かな文具ブームが訪れている。その人気の高まりは国内だけにとどまらない。実は日本の文房具は海外でも需要が伸びていて、中には「メイドイン福岡」のヒット商品もある。福岡のメーカーを訪ねると人気の理由が見えてきた。

文具店には観光客の姿が

福岡の文具メーカー「ハイタイド」。全国区の人気となっているだけでなく、海外でも注目されている。

担当ディレクター:
福岡市の文具店です。あーっ、おしゃれな店内です。多くのお客さんでにぎわっていますね

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高級住宅街の一角に本社を構えるハイタイド1階の直営店。ペンやノートなど、約2,800種類が並ぶ。文具や雑貨の価格は、200円から2,000円ほどがメイン。

楽しげに品定めする来店客の中には、韓国から訪れた観光客の姿もあった。

韓国人観光客:
韓国のインスタで有名で人気があったので来ました。デザインもとってもかわいくて実用的で長く使うことができるところがいいです

このところ韓国を中心とした外国人客の来店が急増していて、来店客の15パーセントほどが海外からだという。

海外で人気の商品は?

いま海外では日本の文具の需要が伸びていて、2022年の輸出額は、前年を14パーセント上回る約1,832億円と過去最高を記録。ハイタイドでも2022年の輸出は、前年より約16パーセント増えた。

中でも海外で人気なのが…。

ハイタイド海外事業部・蓬莱美波さん:
この辺りが自社のオリジナルブランドのpencoの商品が並んでいる棚になります

オリジナルのブランド「penco」。このボールペンは、2022年、海外で約1万6,000本を売り上げたヒット商品なのだ。

ハイタイド海外事業部・蓬莱美波さん:
軽くて持ち運びもしやすい。男性の方だと前のポケットに入れて、いろんな所に行くときに持ち歩いていただいて、すぐ取り出せて、すぐ書けると…

コンパクトで機能的な商品は、海外にはそれほどないといわれている。

ハイタイド海外事業部・蓬莱美波さん:
価格とデザインと使い勝手の機能性のバランスがとれた商品が多いのではないかと思っていて、そこが海外の人にも受けている要因ではないかとは思います

一方、海外での年間の販売数14万個の大ヒット商品というクリップ。本来の用途は、本や手帳のページを挟むことだが、海外では、開封したコーヒーの袋などをとめる台所用品としても重宝されているという。

こだわりは商品の色づかい

商品の機能性やデザイン性に加えて、長く続いた円安で海外では比較的安く販売できたことも追い風になったと担当者は話す。さらにもうひとつ、メイドイン福岡が海外でうける理由があった。それは、「色づかい」。
ハイタイドでは、2023年夏に台湾で開催される予定の文具イベントで披露する商品についての企画会議を連日行っている。スタッフのこだわりは、商品の色づかい。

社員:
こういうシール系のこう。ステッカーを全部キラキラみたいにするとか、そういうことは可能だし、剝がしやすいシールに変えて、デザインから一新して…

代表:
あと2色、別注、2色にして、女性向けみたいな

社員:
ピンク

代表:
そうそう

海外の文具の多くは色のバリエーションが少ないため、この会社では、1種類につき5色から10色の色違いで展開している。

ハイタイド海外事業部・蓬莱美波さん:
割といまの時代に受け入れられる色を意識して作るようにはしている

少子化の進行で文具業界全体が厳しい環境に置かれる中、この会社は10年ほど前から将来を見据えて海外に販路を広げている。5年前にロサンゼルス、2021年にはニューヨークに直営店を出すなど、海外戦略を加速中だ。

ハイタイド海外事業部・蓬莱美波さん:
まだ弊社の商品が入っていない国や地域というものもまだまだありますので、今後、長い目で世界中に弊社の商品が広がっていくといいなというふうに思っています

メイドイン福岡を始め、海外でも人気の日本の文房具。今後も世界にファンを広げそうだ。

(テレビ西日本)

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