北陸電力は12月、家庭向けの「規制料金」の値上げを国に申請した。値上げ幅は平均45.84%となり、県民や個人事業主からは、負担の増加を心配する声が相次いでいる。

「規制料金」値上げに心配の声

北陸電力の家庭向け「規制料金」の値上げ幅は平均45.84%で、標準家庭の1カ月の電気代は2,696円増え、9,098円になる。適用は2023年4月からだ。

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物の価格は上がる一方、給料の伸びが鈍く、家計の負担増に拍車がかかる。

まちの人:
ニュースで見た。けっこう上がるなという感じ

夫婦で年金暮らしの男性:
影響はある。年を取ると、ずっと家にいて暖房にお金を使う。ずっと家に2人でいるから節約、それだけや

まちの人:
来年から働き始めるので、自分で払わないといけなくなる。(電気代が)上がったら嫌だな。ガソリンも値上がりしているし、「走行税」の話も出てきている

「規制料金」の値上げの影響は、家計だけではなく、事業者にも影響を与えている。

ケーキあとりえChihiro
ケーキあとりえChihiro

田島嘉晃アナウンサー:
福井市内の洋菓子店です。商品の品質を保つため、冷蔵庫やエアコンは1日中稼働しているといいます

「ケーキあとりえChihiro」ではこのほか、ケーキを焼くのに3台のオーブンを使うなど、商売を続けるうえで大量の電気を使う。店全体の電気代は毎月10万円にのぼるが、2023年4月の値上がり以降は、さらに5万円近く増える見通しだ。

ケーキあとりえChihiro 北井正博代表:
(材料費などの)値上げもあって、それは代替品で対応できたが、電気はどうしようもないので今から悩んでいる

この店では物価高騰を受け、半年前からケーキの価格を20円ほど上げた。そこに追い打ちをかけるように発表された電気料金の値上げ。消費の冷え込みも懸念の1つだ。

ケーキあとりえChihiro 北井正博代表:
ケーキは嗜好(しこう)品なので、真っ先に買い控えられる。お客さんにちゃんとしたものを提供できるように考えなければいけない

「自由料金」も値上げの見通し…負担軽減策導入へ

大幅な値上げの要因は、燃料価格の高騰にある。例えば火力発電に使われる石炭の価格は、2021年の4月から6月まで1トンあたり平均109ドルだった。

しかし、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻にともない、石炭価格は急激に上昇。2022年8月から10月までの平均は413ドルと、4倍近くに跳ね上がった。

人件費の圧縮やAI技術を活用した設備運用といった効率化だけでは、増加したコストをまかないきれず、値上げするに至った。

大手電力会社が相次いで発表しているが、北陸電力は45.85%で最も高くなっている。ほかの電力会社に比べて、石炭を使う火力発電の割合が大きいことが主な要因となった。
ただ、北陸電力は元々の料金が安いこともあり、値上げ後も料金の単価はほかの大手電力会社と比べると最も安い。標準家庭の1カ月の電気代で比べると、唯一、1万円を切ると想定される。

値上げに国の審査が必要なのが「規制料金」、電力会社が値上げを判断できるのが「自由料金」
値上げに国の審査が必要なのが「規制料金」、電力会社が値上げを判断できるのが「自由料金」

対象は、一般の家庭や小規模な事業者など、県内全体の6割を占める約31万件にのぼる。オール電化の家庭や法人などが契約している残り4割についても、値上げとなる見通しだ。

政府は年明けから、電気代を約2割引き下げる負担軽減策を導入する方針を示している。

ただ、それをふまえても、電気代の上昇分はまかないきれず、家計負担が増えることになる。

(福井テレビ)

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