鹿児島県教育委員会が2025年度から取り組んでいる郷土教材の改定で、このほど小学校中学年用と高学年用の新しい教材が完成した。「かごしまの心~今日、どの先人?」と名付けられた教材には、県民におなじみの人物たちが登場し、子どもたちが身近な先人から学べる内容となっている。
あきらめない心を伝える元プロ野球選手の物語
新教材の目玉の一つが、日置市出身で元阪神タイガースの横田慎太郎さんの物語だ。「あきらめない心きせきのバックホーム」として紹介される横田さんは、脳腫瘍という病気と闘いながらも野球と向き合った姿が、家族の話を元に記されている。

県教育委員会義務教育課の疋田哲朗課長は、「横田さんの夢や希望を持つということや、夢を叶えたこと、あきらめない心を学んでほしい」と語る。病気という困難に直面しながらも諦めることなく野球に取り組んだ横田さんの姿は、子どもたちにとって勇気と希望を与える教材となっている。
新しい視点を提供するミニチュア作家
もう一人の注目人物が、鹿児島在住のミニチュア写真家で見立て作家の田中達也さんだ。田中さんは、さまざまな物事を「見立て」という方法でミニチュア作品に仕上げ、SNSを通して世界中に多くのファンを持つアーティストである。

「自分の好きなこと、やりたい気持ちを優先してほしいです。それを楽しんでほしいな」と語る田中さんのメッセージからは、既成概念にとらわれない新しい視点を持ってほしいとの思いが伝わってくる。身近な日用品を使った独創的な作品づくりを通して、子どもたちの創造性や発想力を育む内容となっている。

地域に根ざした道徳教育の新たな試み
県教委は、鹿児島にゆかりのある人物に親しみを持ってもらおうと、この郷土教材の改定に取り組んできた。6日に公開された小学校3・4年生の中学年向けと、小学校5・6年生の高学年向けの2冊には、表紙に県民おなじみの人物が大集合している。

疋田課長は教材の狙いについて、「子供達にとって『自分の生き方に近いな』とか、『自分がこういう人を目指したいな』という人が一人でもいればそういった人を参考に自分の生き方を見つめる教材になれば」と期待を込めて語った。
県内全校に配布、ホームページでも公開
これらの郷土教材は、対象となる県内の公立小学校の児童に3月中に配布される予定だ。道徳の授業での活用が期待される一方、教材の内容は県のホームページでも見ることができるため、家庭や地域でも広く活用されることが見込まれる。
地域に根ざした人物の物語を通して道徳を学ぶこの取り組みは、子どもたちが身近な先人から生き方のヒントを得られる貴重な機会となりそうだ。横田さんの不屈の精神や田中さんの創造性豊かな発想など、それぞれの人物が持つ魅力的な価値観が、次世代を担う子どもたちの心の成長に寄与することが期待されている。
(動画で見る▶県教委が改定、2025年度導入へ 小学生向け郷土教材「かごしまの心」に横田慎太郎・田中達也ら登場)
