2020年に福岡市の商業施設で起きた、女性刺殺事件の裁判員裁判。7月25日、17歳の少年に懲役10年以上15年以下の不定期刑判決が言い渡された。
判決から2日たった7月27日、少年はTNCの記者との接見に応じた。判決への受け止めを語り、初めて後悔の言葉を口にした。

「非常に凶悪な犯行」懲役10年~15年の不定期刑の判決

一審判決によると、当時15歳だった少年は2020年8月、福岡市の商業施設の女性用トイレで、買い物に訪れていた面識のない女性(当時21)を包丁で多数回刺して殺害。

判決後、記者との接見に応じた17歳の少年
判決後、記者との接見に応じた17歳の少年
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25日の判決公判で、福岡地裁の武林仁美裁判長は、「非常に凶悪な犯行」で「人格的な未熟さや成育歴などを理由に保護処分を受けることは社会的に許容し難い」と指摘。「現時点で再犯のおそれが大きいといわざるを得ない」「被告人の根深い問題の改善には相当の長期間を要する」として、検察側の求刑通り、少年に懲役10年以上15年以下の不定期刑を言い渡した。

<福岡拘置所・接見 7月27日>
記者:
10~15年と言われた、判決はどう思った?

少年:
そんぐらいの行いをしたと感じました

記者:
判決は妥当だなと?

少年:
妥当だとか、なかなか言える立場ではないかなと

記者:
判決を聞いた時、ショックとか怒りは?

少年:
判決を聞いて真摯(しんし)に受け止めたいと自分は思っていたので、ショックとか怒ったりとかいう感情はなく、落ち着いた状態でした

「ショックや怒りはなかった」と語った少年
「ショックや怒りはなかった」と語った少年

25日の判決公判で、裁判長は判決を言い渡したあと、少年に次のように言葉を投げかけた。

<判決公判 7月25日>
裁判長:
あなたは変わらないといけないと思う。長い年月で被害者や遺族に正面から向き合って、心からの謝罪の気持ちを持てるよう信じています

少年は、裁判長の言葉を聞き終えても言葉を発することはなかった。

後悔を口にするも遺族への謝罪は…

<福岡拘置所・接見 7月27日>
記者:
裁判長の最後の言葉に返事や意見をしなかったのは、なぜ?

少年:
表面上、うわべだけで言うのはあれかなと思って。特に言葉にはしなかったです

裁判長の言葉に無言の理由は…
裁判長の言葉に無言の理由は…

しかし、少年は事件後、何度も接見を重ねてきた記者に初めて後悔を口にした。

<福岡拘置所・接見 7月27日>
少年:
事実を受け止めたいと思いました。今回のようなことを起こしたことについて、あのときに思いとどまっていればという気持ちでした

「あのとき思いとどまっていれば…」少年が初めて語る後悔
「あのとき思いとどまっていれば…」少年が初めて語る後悔

ところが法廷での少年は、「遺族のことを考えたことがない」「謝罪の意味がわからない」などと被害者遺族の感情を逆なでする発言を繰り返し、いまだに遺族への謝罪の言葉すら口にしていない。

判決後の会見で、殺害された被害女性の母親と叔母は…

<遺族記者会見 7月25日>
母親:
2年間、時間がある中で、まともな答えがひとつもなかったというのが…

叔母:
判決の時も犯人が見えていた

母親:
背伸びしたり、あくびしたり

叔母:
全然反省している様子がない

母親:
全部がおかしいですよ。一番、悔しかったのは、被告人の言葉で「謝罪の意味がわからない」と。あれは…本当に私、言葉は悪いけど、そこから突き刺してやろうかなと思うくらい悔しかったです。「遺族の気持ちを考えたか?」(との問いに少年は)「考えてない」。全てが、全てが、全てが、全部が…この悔しさって…むなしい…

<福岡拘置所・接見 7月27日>
記者:
背伸びとか、あくびとか、何でそんなことしたの?

少年:
眠れなくて…。判決の前、気を集中していたので…つい気が緩んでしまって、ああいう風にしてしまいました。無意識とはいえ、ダメな態度をとったなと思います

記者:
遺族には、いつになったら謝罪ができる?

少年:
まだ2年という短い期間なので、安易な言葉とかはかけられない。そんなに長くかからない内に言葉をかけられる状態にしたいと思います

記者:
人を殺したこととは、どう向き合っている?

少年:
人をあやめたことについては、全てを奪ってめちゃくちゃにしてしまって…。生きることはどういうことなのか、被害者に対して、生きることはどういうことなのかと感じてます

記者:
殺したことではなくて、生きることを考えている?

少年:
被害者の方が苦労して生きてきたこと、苦労とかつらい体験とかをして、成人して、これまで積み上げてきたものとかを考えています

記者:
殺してしまった人に対してかける言葉は?

少年:
安易に言葉をかけられる資格は、まだないので

記者の問いかけに「再犯しないと約束できる」

記者:
少年院の方が更生する可能性は高いと言っていたけど、更生はできると思う?

少年:
検察側の証人がいうには、少年刑務所にも治療的な精神療法もあるという話をしていたので、少年刑務所だからといって更生できないとは思わないですし、本人次第だと思います

記者:
仮に少年刑務所とすると、どういう生活を?

少年:
作業とかが始まったら、しっかりと丁寧にしたい。余り時間があれば、勉強だとか、言葉の勉強、漢字だとか、しっかりと勉強して時間を無駄にしないようにしたいと思います

記者:
何をしたら更生できると思う?

少年:
5年以内に再犯をしないことだと、自分では思っています。何か事件とか犯罪を犯さないということ。更生というのは、二度と犯罪を繰り返さないで、まっとうに自分がやったことを受け止めて償うために、1日1日をまっとうに過ごすことが更生かなと

記者:
刑務所に入ったとして、出てきたら何がしたい?

少年:
何がしたいとかを考える前に、生活費とか、生活を安定させることに集中したいなと。先に何か自分がしたいことをやることはよくないと思っていて。先に生活を安定させることを集中したいです

記者:
かんしゃくを起こす自分は、思うだけで改善できる?

少年:
気が短いとかは、ずっと悪いクセやと思っていたので、時間をかけて直していけたらと思います

記者:
かんしゃくをなくすには何が大事?

少年:
治療とか、誰かと話をして、どういう風に考えていくか、色んな見方で話しあっていくことで、かんしゃくを起こすとかは治したいと思います

記者:
社会に出た時、人を殺したり、犯罪をしたりしない自信は?

少年:
絶対に犯罪しないという気持ちはあります

記者:
再犯しないと約束できる?

少年:
できます

記者の目を見ながら“約束”した少年
記者の目を見ながら“約束”した少年

17歳の少年は、記者の目を真っすぐ見ながら、これまで通り淡々と答えた。

そして一審判決から2週間…。控訴の期限を迎えた8月8日、17歳の少年は懲役刑を受け入れる決断を下した。

(テレビ西日本)