2008年、東京・秋葉原で17人が殺傷された無差別通り魔事件。

社会に大きな衝撃をもたらしたこの事件の発生から14年以上経った7月26日午前、加藤智大死刑囚(39)に刑が執行された。

「正直、戦場だった」秋葉原の歩行者天国で次々と…

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リポーター:
秋葉原上空です。交差点の真ん中に多数の血痕が見られます

日曜日で多くの人が訪れていた秋葉原の歩行者天国に加藤死刑囚はトラックで突っ込んだ。

目撃者:
「ダダダーン」と。交通事故ではなくて、走り去る状況ではねていた

その後、トラックを降りた加藤死刑囚は持参したダガーナイフで周囲にいた人を次々と刺していった。

事件発生直後に撮影された現場写真では、路上に人が倒れ、血痕らしきものも確認できる。

混乱を極める現場。当時の目撃者は、目の前の惨状を次々に証言した。

目撃者:
正直、戦場でした

目撃者:
もう何が起きたのか全然分からなくて。(人が)刺されたんだなと思ったら、もうとにかく自分も逃げなきゃ、(加藤死刑囚が)戻ってきたら自分もやられると思った

そして事件発生からおよそ2分後。
加藤死刑囚は駆けつけた警察官らに取り押さえられた。

「簡単に言えば私を殺そうとして向かってきた」

番組は2022年5月、事件発生直後に一人で加藤死刑囚に立ち向かった警視庁の荻野尚警部補に取材した。

加藤死刑囚に立ち向かった荻野警部補
加藤死刑囚に立ち向かった荻野警部補

荻野警部補:
交差点で「ガシャーン」と大きな音がして、事故があったんじゃないかなと思って、私はそのまま走っていったっていう感じですね

秋葉原交番から現場に向かった荻野警部補が目にしたのは異常ともいえる状況だった。

荻野警部補:
何人かが不自然に倒れている人がいたんですよ。歩行者が「通り魔だ」と叫びだして、次から次に止まっている人めがけてナイフをかざしていった

一刻を争う緊迫した空気の中、荻野警部補は一人で加藤死刑囚の前に立ちはだかった。

ーーその時の加藤死刑囚の表情は?
荻野警部補:
正気ではないなという感じですね。刃物で私に向かってくる状況だったので、簡単に言えば私を殺そうとして向かってきたんじゃないかなっていう感じです

荻野警部補は拳銃を抜こうとするが、周囲に多くの人がいることを踏まえ、まずは警棒で対抗。加藤死刑囚を人の少ない路地に追い込んだ後、拳銃を手にした。

荻野警部補:
拳銃を出して大きな声で「撃つぞ」と。それで今度は腰を低くして本当に撃つ構えをして「撃つぞ」と。それでナイフをすぐ落とした

加藤死刑囚は荻野警部補によって逮捕された。

加藤死刑囚が語った犯行の動機は…

発生から逮捕までの2分足らずの間に7人を殺害し、10人に重軽傷を負わせた犯行。

加藤死刑囚は裁判で動機を次のように話した。

加藤智大死刑囚(39):
掲示板での嫌がらせをやめてほしかった

2015年、最高裁が上告を退け死刑が確定。そして事件発生から14年余りが経った今日、刑が執行された。

「なんで今日なのか…」被害者が心中を語る

刑の執行を受け、事件の被害者の一人の湯浅洋さんは
「驚きはしないですよ。いつかこういう日が来るというのがわかっていたから。ただなんで今日なのかっていうことなんですよ」

男性は、“同様の事件が起きないようなヒントが出るとすれば、まだ刑を執行しなくてもよかったかもしれない”とし、「死刑は納得だが責任を果たす時期はまだか」という質問に「そうですね。まだ彼本人も彼の起こした事件に対して分かってないと思うんですよ」と語った。

どうすれば、殺意の暴走を止められたのか。

事件は、今もさまざまな疑問を社会に投げかけている。

(「イット!」7月26日放送より)