めざまし8が独自取材したのは、イチョウの木の伐採を巡る攻防の一部始終。深夜の東京・千代田区に響き渡ったのは、機械音と悲痛な叫び声でした。

真夜中に響くチェーンソーと泣き声…伐採されるイチョウ並木

4月27日未明。めざまし8のカメラが捉えたのは、閑静な住宅街にとどろくチェーンソーの音と泣き叫ぶ人々の声でした。騒動は、東京・千代田区の、神田警察通りで起きました。

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泣き叫ぶ声:
やめてください!イチョウが泣いてる。この春芽吹いたばかりのイチョウが悲しんでます

毎年秋になると一面、黄金色に染まり、住民の目を楽しませてきた、樹齢100年を超えるというイチョウ並木。ところが、この見事なイチョウを伐採するというのです。

26日午後7時。イチョウ並木のもとに集まったのは、「神田警察通りの街路樹を守る会」のメンバーでした。

千代田区在住者:
私はこの地で3代目になるんですが、両親が古書店やってまして。小さいときからここで育っていますのでこの想いは、強いものがありまして、きのうもずっと泣いてました。木にごめんなさいって言って

神田警察通りの街路樹を守る会 滝本幾子さん:
「木を切らない沿道整備」を速やかにやってもらいたいと

6年前、歩道を拡張するなどの整備計画を明らかにした千代田区。

当初のガイドラインには、既存の樹木を残して道路を整備するプランが記されていましたが、実際に工事が始まると、次々とイチョウを伐採。

保存から伐採へのプラン変更について、千代田区は…

イチョウの根で歩道が隆起… 区は「道路を使用する方々から不安の声」

千代田区のコメント:
現状のイチョウやケヤキなどの街路樹を、やむなく更新することとしたものであります。
今後 大木化するイチョウは、成長によりさらに道路の幅員に影響を与えることから、道路を使用する方々から不安の声が寄せられています。地域のシンボルロードとなるような道路の実現を目指しており、この考えに変わりはありません

千代田区は、成長したイチョウの幹や枝が通行の妨げになるだけでなく、根っこが盛り上がり路面がデコボコになるなどの支障も出たため、やむを得ず新たな街路樹に植え替えると主張。

残ったイチョウは32本。25日、区がこれらのイチョウも伐採する動きを見せたことから、守る会のメンバーが集結したのです。

この日は、3人で肩を組み、木のまわりを囲んで、伐採を阻止。ところがメンバーおよそ20人に対し、イチョウは30本。

そこで、26日は1人が1本の木を守る作戦に変更。目標は、作業時間として示されている10時間の間、イチョウを守りきることです。ところが…

滝本幾子さん:
区の職員も建設会社もいないですね。おかしいですね…様子が違います

作業の開始予定時刻を迎えても、伐採業者は現れず、先ほどまで通りに停車していた木材を運ぶためのトラックも撤収しました。

解散30分後に…まさかの伐採「ずるいやり方」

参加者:
今日は工事を中止したかのように見えるんですけども、わかりませんよね。けれども、この時間になって粘っても、みなさんの体力を消耗してもいけないので

そこで、守る会は4人を残して解散することに。しかし、そのわずか30分後、伐採業者がイチョウの元にやってきました。

神田警察通りの街路樹を守る会:
やめて~~!この春芽吹いたばかりのイチョウが悲しんでます

作業開始からおよそ3時間。フェンスで囲まれた4本のうち、2本が伐採されました。

滝本幾子さん:
本当にずるいやり方だと思います。風が強くなっている状態で、雨が降ると言われている状況では、私たちの判断が甘かったと思って反省しておりますけど

工事期間とされている2023年の2月まで、イチョウを巡る攻防は続くとみられます。

(めざまし8 4月27日放送)