豚熱の殺処分を乗り越え、1年8か月ぶりの“行ってらっしゃい”…農場再建に向けて着実な一歩【沖縄発】
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豚熱の殺処分を乗り越え、1年8か月ぶりの“行ってらっしゃい”…農場再建に向けて着実な一歩【沖縄発】

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2020年1月、沖縄県で34年ぶりの豚熱発生

2020年1月、沖縄県で34年ぶりとなる豚熱が発生してから1年8か月。
沖縄市の喜納農場では2021年9月7日、「豚熱後初の出荷」と再建に向け、大きな一歩を踏み出した。
再建に向け、着実に歩み続ける農場スタッフの想いを伝える。

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喜納農場・喜納忍代表:
ゼロからのスタートだったので、ここからまた送り出すことが出来るという、感極まるものがあります

2020年の元日、喜納農場の代表・喜納忍さんは、新たな年に向けてSNSで希望に満ちた言葉を綴っていた。

しかし元日から1週間後の2020年1月8日…

沖縄県・玉城知事:
本日、残念ながらCSF・豚コレラ(豚熱)の患畜が確認されています

2020年1月8日

沖縄県内で34年ぶりに豚の伝染病・豚熱が発生。
その後、喜納農場の豚からも豚熱の陽性反応が出たため、農場にいる全ての豚3012頭の殺処分を余儀なくされた。

喜納農場・喜納忍代表:
辛いという言葉ではちょっと言えないぐらい、こんな光景をまさか生きているうちに見てしまうなんて…

現実と向き合うことが出来なかったと話す喜納さん。それでも祖父の代から続く農場を絶やしたくない、そして沖縄の豚肉文化を未来へと繋げていきたいという想いで農場の再建を誓った。

従業員一丸となった再建に向けての取り組み

喜納農場・喜納忍代表:
自分たちの豚でいっぱいになるっていうのは、2年半ぐらいかかると思います。とにかく再建する。絶対ここからまたやる

2020年12月

農場の再建に向けて再び歩みだした喜納農場。
これまで以上に徹底した感染予防策や、繁殖の再開に向けた母豚の世話など、やることは山積みだったが、従業員一丸となって一つ一つ丁寧に取り組んできた。

喜納代表は新たな取り組みもスタートさせた。コロナ禍で需要が落ち込む中でも県産の豚肉を多くの人に味わってもらうための「キッチンカー・キナーズ」だ。まだ喜納農場の豚肉を提供することはできないが、農場メンバーにとっての希望だった。

喜納農場・喜納忍代表:
うちのお肉でやっと出来た、キナーズで提供できるサンドですということでやろうという話をしていて、その日が今の希望であり、楽しみですね

待ちに待った可愛い子豚の誕生

喜納農場・喜納忍代表:
喜納農場、豚熱後、初の子豚です。可愛いですねぇ、可愛いパンダさんみたい…あ、オシッコしました

2021年2月、豚熱後はじめてとなる子豚が誕生。農場スタッフ全員で惜しみない愛情を注いだ。

喜納農場・喜納忍代表:
変な言い方なんですけど、犠牲にしてしまった子たちが帰ってきたと思って、みんなすごい過保護に育てました。1匹でもウチから送り出してあげられるように

迎えた出荷の日、複雑な思いも…

遂に迎えた豚熱後初となる出荷の日、2021年9月7日。農場を最前線で支えてきた岩間農場長は、少し複雑な想いもあるようだ。

喜納農場・岩間博之農場長:
送り出すのは寂しい気持ちもあるんですけど、県民のソウルフードなので、美味しい豚肉と安心安全な豚肉を届けるのが私たちの仕事だと思いますので

農場の再スタート後、初めてのお産で生まれた10頭が沖縄県食肉センターのトラックへと移されていく。豚熱の発生前までは当たり前だった光景・・・それでも手塩にかけた育ててきた10頭を送り出す胸中は特別だ。

喜納農場・喜納忍代表。
”いってらっしゃい”…1年8カ月ぶりです。いってらっしゃいと言えたのが嬉しいです

喜納農場・岩間博之農場長:
ちょっと悲しくなるかなと思ったんですけど、再建への第一歩だと思いましたね。一頭一頭しっかりと愛情をもって育てていきたいなと思います

豚熱の発生前の状態に戻るまでには、まだまだ長い道のりがあるが、一歩ずつ着実に歩みを進めている。

喜納農場・喜納忍代表:
沖縄のあぐーを食べて、沖縄の伝統と豚肉を守って、それで健康になっていく。そういう一つの繋がりを、うちでお手伝い出来たらなと思っています

喜納代表は豚熱発生後、地域住民の方に不安を与えてしまうと思ったが、「あんたたちが毎日ちゃんとしているの分かっているから頑張りなさい」と言われたことで救われたと話していた。

(沖縄テレビ)

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