近年、ゲームやスマートフォンなどの影響により、子どもの近視の進行が問題となっている。さらに追い打ちをかけているのが、コロナ禍の「おうち時間」の増加だ。
「将来、失明の原因にもつながる」と医師が警鐘を鳴らす中、子どもの目を守るために必要な対処法とはどのようなものか。メガネの専門店で話をうかがった。
長時間のスマホやゲーム…コロナ禍で低下する子どもの視力
福岡市早良区の眼科の待合室。多くの親子の姿がある。
医師:
まっすぐ正面向いてね~。右は近視がないんだけど、左の方が近視が出てて…
子ども:
右が(学校検診で)計った時に、1.2でAで、左が0.4でCでした
母親:
片方が見えていたので、全然、本人も気づいてなかった
診察に来ていた子どものほとんどが、近視に関する相談だ。
たける眼科・吉村武医師:
コロナの期間で、去年から数か月で進んじゃったって子どもも何人も見ていて、いま、とっても増えています
視力が落ちる大きな要因とされるのが、コロナ禍の生活で増えたゲームやスマートフォンの時間。外に出掛けられず、長い時間、画面を近くで見続けるためだ。福岡の小学校でも導入されたデジタル学習も要因の一つと考えられている。
小学6年の砂澤咲さんは、学校の検診で1年前より視力が落ちていることがわかった。
医師:
右目はよく見えてるから、左目がちょっと近視になってますね。やっぱ自宅学習とかタブレット学習、去年、家にいないといけなかったから取り入れたんですよね
診察の結果、2020年に0.9だった左目の視力が0.4まで落ちていて、眼鏡を作ることに。
小学6年・砂澤咲さん:
(先生が)近視を進ませないためには、遠くを見ることが大切って言っていて、それはやってみようかなって思います
近視が進行しやすいのは8~10歳まで
吉村医師によると、近視のメカニズムは意外と知られていないという。
たける眼科・吉村武・医師:
近視っていうのは目の奥行きが伸びるっていうことなんです。これは海外の論文なんですけど、これが、近視がほぼ進んでいない状態の目で、右に行くほど近視が進んでいる状態っていうことになります
丸いはずの眼球が、前後に長い楕円形になっていることが分かる。
通常、私たちは目の筋肉を使ってレンズを調節し、近くの物や遠くの物を見ている。ところが近くの物を見る状態が長く続くと、レンズを調節するのではなく、生体反応で次第に眼球が伸びて楕円形になってしまうのだという。
吉村医師によると、近視が最も進行しやすいのは眼球が成長する8歳から10歳まで。一度伸びた目は戻ることはないといわれている。
また、ゲームやスマホはしすぎると、近視はもちろん、黒目が内側に向いて「斜視」の原因にもなるおそれもあるのだ。そして、最も危惧されるのは失明。
たける眼科・吉村武医師:
近視が進行すると、子供さんが何十年か経って年を取ったときに目の病気になる。将来の失明原因、見えなくなる原因にもつながるので、予防がとても大事
視力が落ちてしまった場合は、裸眼で過ごすより眼鏡をかけた方が、近視が進みにくくなるということがわかっている。
大事なのは、長時間、近くを見続けないこと
福岡市早良区にある子ども用の眼鏡専門店。活発に動き回る子どもにも使いやすい眼鏡が揃っている。
ーーどうしてそれにしたの?
店を訪れた子ども:
かわいかったから
店を訪れた母親:
子どもが使いやすい眼鏡。付け心地は大事かなと思います
一心堂キッズ 田島満嘉店長:
きちんと度数を合わせて、掛けた方が目のためには良いと思いますので、先生と相談して、きちんとした度数でかけることが重要だと思います
また、成長期の子どもは視力もフレームのサイズも変わりやすいことから、年に2回は調節した方がいいという。
一心堂キッズ 田島満嘉・店長:
1年間で3回まではレンズを無料で交換できるので、お気軽に来ていただければ
ゲームやスマホなど近くのものばかり見ている時は、20分ごとに20秒間、20フィート…つまり約6メートル先を見るということが対処法としては挙げられている。
これを繰り返して、長時間、近くを見続けないことが近視の進行を抑制する大きなポイントで、多くの医師が推奨している。また太陽光を浴びることも大切で、「2時間以上の外遊び」が効果的ともいわれている。
スマホやゲームなどに接する機会が増える夏休み。
コロナ禍でさらにデジタル化が進むなか、子どもの目を守る必要性が高まっている。
(テレビ西日本)