息切れや体のむくみは、心臓の機能が低下する「心不全」のサインかもしれない。日常生活に支障をきたすほど進行する前に、日常的な運動で下半身の筋肉を鍛えることにより予防が期待できる。福井循環器病院の理学療法士、清水浩介氏に話を聞いた。

進行を遅らせるのは“第二の心臓”

心不全とは「心臓の機能低下により息切れや体のむくみなどの症状が出て、日常生活に支障をきたす状態」と清水氏は説明する。80歳以上で発症することが多く、主な原因としては加齢や高血圧、生活習慣病などが挙げられる。

福井循環器病院理学療法士の清水浩介氏
福井循環器病院理学療法士の清水浩介氏
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心不全の症状は、悪化と回復を繰り返しながら進行していく。そして、一度悪化した状態から完全に元に戻ることはない。悪化すると水に溺れるような苦しさを感じることもあるという。

心不全の症状の進み方
心不全の症状の進み方

この進行を遅らせるためには、下半身の血液循環を促すことが重要で、有効なのが運動療法だ。

“第二の心臓”とも呼ばれる足。血液を心臓へ効率よく戻すには、足の筋肉のポンプ作用が不可欠なのだ。

「足の筋肉には、足に行った血液を上に戻す作用があるので、筋肉が心臓の働きの肩代わりをする」と清水氏は語る。

下半身を鍛える運動がおすすめ
下半身を鍛える運動がおすすめ

運動療法は心不全の進行を遅らせるだけでなく予防にもつながるため、リスクが高い高齢者にもおすすめだ。

自宅でできるイスを使った運動療法

清水さんに、下半身の血液循環を促す椅子を使った簡単な運動を紹介してもらった。

かかとの上げ下ろし
かかとの上げ下ろし

1つ目は「かかと上げ」。椅子につかまり、かかとを高く上げて下ろす動作を繰り返す。

2つ目は「スクワット」。椅子の前に立ち、足を肩幅に開く。腕を前に伸ばし、ゆっくり息を吐きながら、イスの座面ぎりぎりまで腰を落とす。

イスの座面ギリギリまで腰を下ろす
イスの座面ギリギリまで腰を下ろす

腕を前に伸ばすのがつらい場合は、胸の前で腕を組んで行ってもよい。

左は膝を痛める悪い例
左は膝を痛める悪い例

注意すべきは、膝が前に出過ぎてしまうことだ。「膝が前に出ると膝のお皿に非常に圧がかかり、膝を痛める可能性が高い」と清水さん。

スクワットが難しい場合は、椅子に座った状態から立つ、という動きを繰り返すだけでも効果がある。膝に手をついたり、座面を高くしたりすると、さらに負担を軽くすることができる。

大きく手を振り歩くのも有効
大きく手を振り歩くのも有効

このほか、腕を後ろに大きく振りながら早歩きするウォーキングも効果的だ。

息切れ、むくみ、体重増加…重なったら要注意

ただし、運動には注意も必要だ。息切れを感じたらすぐに休むこと。回数にこだわらず、無理のない範囲で行うことが大切である。

無理をせず行おう
無理をせず行おう

清水氏は「心不全は重症の人もいれば軽症の人もいるので、適した運動は人それぞれ違う」と語る。心不全の人が無理をするとかえって症状が悪化することもある。運動を始める前には、医師に相談することが大切だ。

そして、適度な運動とともに進行を遅らせるもう一つの鍵が、早期受診である。

「息が切れやすい」「体がむくみ体重が増える」。これらが同時に起こったら心不全を疑い、すぐにかかりつけ医や循環器の専門医を受診することが重要だ。

自分を含め、高齢の家族に息切れと体のむくみがないか―日々の暮らしの中で、少し気にかけてみることが、健康を守る大きな一歩になる。

福井テレビ
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